パプアニューギニアの農業とコーヒーふりかえり
2023年も残すことあと僅かとなりました。今年最後となる限定コーヒーのご紹介となります。パプアニューギニア、イースタンハイランド州から『MORITA』です。思えば、今年の最初のコーヒーもパプアニューギニアの逸品でした。
パプアニューギニアは太平洋の島国です。日本からはるか南に、オーストラリアの北の赤道付近にあります。
もともとは、ニューギニア島という世界で2番目に大きな島があり、その島の東半分がパプアニューギニアで、西半分はインドネシアとなっています。
パプアニューギニアは、世界で最も初期に、農業を始めたとも言われています。その証拠となっているのが世界遺産に登録されている「クックの初期農耕遺跡」です。
パプアニューギニア南部の海抜1500m地点の湿地帯にある、ニューギニア島最古の農耕地であり、発掘調査では、少なくとも7000年前から耕作が行われてきたことが判明しています。
タロイモやヤムイモなどの生産活動が、開始以来一度も途絶えていない場所でもあります。約6500年前に植物採集が農業へと変わったこの場所では、初めは単なる盛り土をして耕作していました。
しかし、やがて木製の道具で溝を掘って湿地を干拓し、4000年前にはバナナの栽培も始まったことが考古学的に証明されています。これほどの長期にわたり、独自の農業の発展や農法の変化について考古学的な裏付けのある場所は、世界にも類がないのです。
写真は世界遺産公式サイトの記事より。
精霊が降りたつ農園
パプアニューギニアのコーヒーの歴史は浅く、1930年代にヨーロッパ人の宣教師によって、ジャマイカの有名なコーヒー品種である、「ブルーマウンテン」の苗木が移植されたことが本格的なコーヒー栽培のきっかけとなっています。
年間生産量の85%以上を零細農家が占めており、そのほとんどが標高1,500mを越える高地でアラビカを栽培しています。
そして、精霊の名前が由来となり名付けられたバロイダ農園。その中でも最も標高が高いエリアを 「MORITAエリア」と呼びます。
農園主の名前は、ベン・コルブラン氏、1963年に栽培を始めてから少しずつ農園を広げていきました。1997年からは、ご子息のニコル氏が経営を引き継ぎ、地元の小農家と連携し、適正なロット管理を行い、手作業によるチェリー選別と高度な生産プロセスを通じて、世界でもトップレベルのコーヒーを届けています。
コーヒーが華やぐ
レモングラスの滋味な香りと、フローラルが相まって、とても華やかな印象です。酸味もしっかりと感じられますが、舌に残らずコクを感じさせてくれる大変バランスの良い仕上がりです。飲み口は柔らかなく、抵抗なく最後の一口まで楽しむことができます。
苦味 ★☆☆
酸味 ★★★
コク ★★★
甘味 ★★☆
焙煎 ★★☆
フレーバー:レモングラス、フローラル、ウッド
農園データ
生産国 | パプアニューギニア |
生産地域 | イースタンハイランド州 |
生産高度 | 1,700m |
精選方法 | ウォッシュド |
品種 | アルーシャ |