ミャンマーからの贈り物:グリーンランド農園のコーヒーで旅する「グリーンランドSL-28ナチュラル」〜2024年12月限定コーヒー

ミャンマーコーヒーの歴史: イギリス統治時代から始まるミャンマーのコーヒー栽培

ミャンマーのコーヒー栽培の歴史は、19世紀半ばに遡ります。1855年、イギリスの宣教師によってアラビカ種の苗木がミャンマーに持ち込まれたのが始まりです。この苗木は、南部のミェイクやダウェイ、そして避暑地として有名なピンウールウィン(旧名メイヨー)で栽培されました。これらの地域は、標高の高さや気候条件がコーヒー栽培に適しており、徐々に生産地として発展しました。

ミャンマーの国土は、標高2000メートル級の山々に囲まれた地形と、肥沃な土壌を持ちます。特に昼夜の寒暖差がコーヒーの風味を際立たせる条件を生み出し、高品質なコーヒー栽培に理想的な環境を提供しています。


特徴: フルーティーな香りと深い味わいが生む魅力

ミャンマーコーヒーは、他のアジア諸国とは異なるユニークな風味で知られています。その特徴は、鮮やかなフルーティーな香りと、奥行きのある味わい、そして後味の良さにあります。主にアラビカ種が栽培されており、これがミャンマーのコーヒーの繊細な酸味と甘みを生み出しています。

また、近年では環境に配慮した農法や品質向上のための技術導入が進んでおり、スペシャルティコーヒー市場での評価が急上昇しています。ナチュラルプロセス(天日乾燥)やウォッシュドプロセス(水洗式)、さらに近年注目を集めるハニープロセスなど、多様な精製方法が取り入れられています。それぞれの方法が豆の風味に個性を与え、多様な味わいを楽しめるのがミャンマーコーヒーの魅力です。


産地: ユワンガンを中心に広がる高品質なコーヒー

ミャンマーのコーヒー生産地は主に標高の高い地域に集中しています。その中でも特に有名なのが、シャン州のユワンガン地区です。この地域では、小規模農家が中心となり、農薬や化学肥料を使わないオーガニックな方法で栽培を行っています。ユワンガンは標高が高く、豊かな土壌と先進的な技術を活かして、高品質なアラビカ種を生産しています。

その他の注目産地としては、避暑地としても知られるピンウールウィンや、モーゴックがあります。これらの地域でも、丁寧に栽培されたアラビカ種のコーヒーが生産され、国内外で評価を高めています。


グリーンランド農園: 特別な風味を届けるシャン州の農園

今月ご紹介するのは、シャン州の「グリーンランド農園」から届けられる特別なコーヒーです。この農園は、標高1150メートルの高地に位置し、肥沃な土壌と昼夜の寒暖差を活かした高品質なコーヒーを生産しています。

グリーンランド農園の特徴
  • 味わい: フルーティーで甘みのある風味が特徴です。特に、トロピカルフルーツや赤いベリーのようなニュアンスが感じられ、まろやかな口当たりと後味に残るナッツの風味が楽しめます。
  • 精製方法: この農園では、ハニープロセスを採用しています。これは、コーヒーチェリーの果肉を部分的に残した状態で乾燥させる方法で、豆の甘みを引き出しつつ、酸味を控えめにする効果があります。これにより、フルーツのフレッシュさとコクが絶妙なバランスで調和しています。
  • 持続可能性: 環境への配慮も農園の重要な取り組みの一つです。持続可能な農法を採用し、農業コミュニティの支援を行うことで、地域社会とともに発展しています。

ミャンマーコーヒーで味わう物語

ミャンマーコーヒーは、歴史、自然の恵み、そして新しい技術の融合から生まれる宝物です。その一杯には、ミャンマーの風景や文化、人々の情熱が詰まっています。

グリーンランド農園のコーヒーを通じて、ミャンマーの新たな魅力を発見してみてはいかがでしょうか。一杯のコーヒーが、あなたの日常に新たな視点と豊かさをもたらしてくれることでしょう。


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味について

 コーヒーを蒸らした瞬間からベリーの香りが漂ってきて、上質な歯に⓪ナチュラル(完熟豆の天日乾燥)と気付きます。

ベリー感豊かな風味に、酸味もしっかりと感じつつも甘さに溶けて心地よい。雑味もなく、飲みやすいがしっかりとコクも感じます。大人の濃厚ベリーチョコレート、といったところか。クリスマスにぴったりではないでしょうか。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★★

甘味 ★★★

焙煎 ★★☆  

フレーバー:ブルーベリー、チョコレート、蜜いも

農園データ

生産国ミャンマー
標高1150
品種SL-28
精選ハニープロセス

コスタリカコーヒー:自然と文化が育む一杯の魅力「ラ・リアピエサンホワイトハニー」〜2024年11月限定コーヒー

中央アメリカに位置し、小国ながらも自然保護とコーヒー文化で世界に知られるコスタリカ。その豊かな熱帯雨林と環境保護への意識、そしてコーヒーの一大産地としての存在感が魅力です。コスタリカの自然環境と保護活動、そしてコスタリカコーヒーの歴史、文化、主要な産地、特にタラスエリアのコーヒーとその精選プロセスであるホワイトハニープロセスについてご紹介します。

コスタリカの熱帯雨林と自然保護

 コスタリカは国土の約25%が国立公園や自然保護区に指定されている環境保護の先進国です。その小さな国土には、世界の生物多様性の約5%が集中しているとされ、ジャガーやピューマといった大型哺乳類から数え切れないほどの昆虫まで、多様な動植物が生息しています。特に、熱帯雨林は湿潤な気候と豊富な降水量を背景に、コスタリカの自然環境の象徴であり、地球規模の温暖化防止にも貢献しています。

1960年代から環境保護を国家方針として掲げ、1980年代には保護区や国立公園の設立を加速させました。さらに、再生可能エネルギーの普及にも積極的で、現在では国内エネルギーの多くを水力、地熱、風力で賄っています。環境保護と持続可能な発展を両立するコスタリカは、エコツーリズムでも注目され、観光業が国の経済を支えつつあります。こうした背景の中で、コスタリカ産コーヒーも持続可能な農業と地域経済の成長の一環として発展を続けています。

コスタリカのコーヒーの歴史

 コスタリカにコーヒーが初めて導入されたのは、18世紀末のことでした。その後、19世紀になると国を挙げてのコーヒー栽培が始まり、やがて国内外で高い評価を得るようになります。コーヒー産業はコスタリカの経済基盤を支え、特に19世紀後半には、コーヒーの輸出が国の主要な収入源となりました。コーヒーの栽培と輸出は、国のインフラ整備にも貢献し、教育や交通網の発展に寄与しました。

20世紀後半には、品質の向上と差別化を目指し、スペシャルティコーヒーの生産が盛んになりました。コスタリカは品質基準を厳しく守り、環境保護と高品質なコーヒーの生産を両立させています。この取り組みは、今日のコスタリカコーヒーが世界的な評価を得る背景となっており、コーヒー産業は今でもコスタリカの主要な輸出産業です。

コスタリカの主要コーヒー産地

 コスタリカには、いくつかのコーヒー産地があり、それぞれの地域が独自の風味や品質で知られています。主な産地としては、セントラルバレー、ウエストバレー、タラス、トゥリアルバ、オロシなどが挙げられます。これらの地域は、火山性の土壌と適度な標高、適した気候条件に恵まれており、高品質なコーヒー豆を栽培するのに理想的です。

各産地には特徴的な風味があり、たとえばセントラルバレーは豊かな酸味と甘みのバランスがよく、ウエストバレーは果実味が強くフルーティな風味が特徴です。コーヒー愛好家たちは、地域ごとに異なるコーヒーの味わいを楽しみ、その土地ならではのテロワールを感じ取ります。

タラスエリア:コスタリカ屈指のコーヒー産地

 コスタリカのコーヒー産地の中でも特に注目されるのが、今回のコーヒー産地であるタラスエリアです。タラスは、標高が1,200〜1,900メートルに達する高地で、火山性土壌と涼しい気候がコーヒー栽培に最適です。このエリアで生産されるコーヒーは、際立った酸味と甘み、そしてクリーミーな口当たりが特徴で、世界中のコーヒー愛好家から高い評価を得ています。

タラスのコーヒーは、特にそのバランスの取れたフレーバープロファイルが魅力です。シトラス系の酸味に加え、しっかりとしたボディと心地よい甘さが楽しめます。タラスエリアの農家は、高品質なコーヒー豆の生産に細心の注意を払い、収穫から精製、乾燥までのすべての工程を丁寧に行っています。このような農家の努力が、タラスコーヒーの品質の高さを支えているのです。

ホワイトハニープロセス:タラスの特別な精選方法

 コーヒーの精選プロセスにはさまざまな方法がありますが、コスタリカでは特に「ハニープロセス」が盛んに行われています。ハニープロセスとは、コーヒーチェリーの果肉を除去した後、ミューシレージと呼ばれる粘りのある層を一部残しつつ乾燥させる方法です。ハニープロセスには、ホワイトハニー、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーといった種類があり、ミューシレージの残留量や乾燥方法によって風味が変わります。

中でも今回のコーヒーの精選プロセスのホワイトハニープロセスは、ミューシレージの残留量を最小限に抑えることで、爽やかでクリアな味わいを生み出す精選方法です。ホワイトハニープロセスを施したコーヒーは、酸味と甘みのバランスが取れ、軽やかなボディと上品な風味が楽しめます。タラスエリアでは、このホワイトハニープロセスが特に評価され、農家たちが細心の注意を払って行っています。タラスのホワイトハニーコーヒーは、コスタリカの自然と農家の情熱が詰まった一杯として、特に人気の高い商品です。

コスタリカコーヒーが世界で愛される理由

 コスタリカのコーヒーは、単にその品質が高いだけでなく、環境保護や持続可能な生産への取り組みも評価されています。コスタリカ政府は、コーヒー栽培においても環境への配慮を徹底し、農薬や化学肥料の使用を最小限に抑えるための支援を行っています。さらに、農家が経済的に安定した生活を送れるよう、フェアトレードやオーガニック認証を推進する取り組みも続けられています。

コスタリカのコーヒーは、その風味の魅力だけでなく、こうした環境保護と地域コミュニティの発展に寄与している点でも、多くの人々から支持されています。コスタリカの一杯のコーヒーには、自然と共存する暮らしと、それを支える人々の情熱が込められているのです。

コスタリカの自然と文化を味わう一杯

 コスタリカのコーヒーは、その豊かな自然環境と環境保護への取り組みの中で育まれています。特にタラスエリアのホワイトハニープロセスを施したコーヒーは、コスタリカのコーヒー文化と農家の努力が詰まった特別な一杯です。とりわけ、タラスエリアのホワイトハニープロセスで作られたコーヒーは、コスタリカの自然と共に育まれた特別な一杯です。豊かな酸味と程よい甘み、軽やかなボディが特徴で、他のコーヒーとは一線を画するクリアな味わいが広がります。この一杯を通して、コスタリカの環境と文化を体験できるとも言えるでしょう。

コスタリカのコーヒーは、その質の高さと独自性により、単なる嗜好品を超えて、世界中のコーヒー愛好家から「特別な体験」として受け入れられています。多くのバリスタがこの地域の豆を使ったレシピを研究し、その風味を最大限に引き出す方法を探求するなど、コスタリカのコーヒーは国際的なコーヒー業界でも重要な位置を占めています。

コスタリカのコーヒー文化の未来

 コスタリカでは今後も、伝統的なコーヒー栽培と新しい生産技術が融合し、さらなる発展が期待されています。コスタリカの若い世代もまた、コーヒー産業に対して深い誇りと愛情を持ち、革新的なアイデアでコーヒー栽培を続けています。サステナビリティの観点からも、無農薬栽培や再生可能エネルギーの利用など、環境に配慮した生産が進んでいます。

また、コスタリカではエコツーリズムの一環として、コーヒー農園を訪れる「コーヒーツアー」も人気を集めています。コーヒーの木々に囲まれた美しい農園で、収穫から焙煎、カッピング(テイスティング)までの工程を体験できるこのツアーは、訪れる人々にとって一生の思い出となります。訪問者はコーヒーがどのように育ち、精製され、カップに注がれるまでのすべての過程を知ることで、自然とコーヒー生産者への感謝の気持ちを抱くのです。

コスタリカのコーヒーは、自然環境への敬意と、地域の農家の情熱が込められた「サステナブルな一杯」です。熱帯雨林と豊かな生態系を守りながら高品質なコーヒーを生み出すコスタリカは、環境保護と経済発展の両立を成し遂げるモデル国と言えるでしょう。次にコスタリカ産のコーヒーを味わうときには、ただの一杯としてではなく、コスタリカの美しい自然と、その一杯に込められた努力や物語を思い浮かべてみてください。きっと、新たな視点でそのコーヒーの魅力を感じられるはずです。

味について

 香り高さが豆から溢れています。コクがしっかりと、舌で風味をたっぷり感じることができます。鮮やかに立ち上がる酸味と、えぐみのない苦味、上質なコーヒー、余韻にはスモークが漂います。パッションフルーツをかじったようなジューシーなフルーツ感も楽しめます。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★★☆

コク ★★★

甘味 ★★★

焙煎 ★★☆  

フレーバー:パッションフルーツ、アールグレイ、炭、カカオ、青草

農園データ

生産国コスタリカ
標高1820〜1950
品種カトゥアイ
精選ハニープロセス・ホワイトハニー

ブラジル「ダイバースコーヒー」:ブラジルコーヒー物語 太陽の国から届く至福の一杯を〜2024年10月限定コーヒー

ブラジルのコーヒー文化:コーヒーは国民の飲み物

 ブラジルの人々にとって、コーヒーは生活に欠かせない存在です。街角のカフェでは、エスプレッソやカプチーノのほか、ブラジルならではのコーヒーの楽しみ方が提供されています。

  • カフェジーニャ: 小さなカップに注がれた濃いエスプレッソに砂糖をたっぷり入れるスタイルが、ブラジルの伝統的な飲み方です。
  • カフェレテ: エスプレッソに温めたミルクを加えた、まろやかな味わいのコーヒー。ブラジルの家庭でよく楽しまれる一杯です。

ブラジルコーヒーの歴史と特徴:多様性を生み出した壮大な物語

 ブラジルとコーヒーは、世界のコーヒー市場において切り離せない関係にあります。ブラジルのコーヒー産業の発展は、同時に国の経済や社会、そして文化と密接に結びついてきました。ここでは、ブラジルコーヒーの誕生から現在までの壮大な歴史をご紹介します。


ブラジルコーヒーの誕生と成長

 18世紀初頭、ポルトガル人のフランシスコ・デ・メロ・パリェッタによってフランス領ギアナからコーヒーの種が持ち込まれたのが、ブラジルコーヒーの始まりです。当初、コーヒー栽培はブラジル北部で試みられましたが、気候が合わず、18世紀後半にミナスジェライス州やリオデジャネイロ州など、より適した南部へと移行しました。

19世紀には、ブラジルが世界有数のコーヒー輸出国となり、奴隷労働に支えられた大規模なコーヒー農園が急速に拡大しました。しかし、1888年に奴隷制度が廃止され、労働力不足を補うために多くの移民がヨーロッパやアジアからブラジルへと渡ってきます。移民たちの努力により、ブラジルのコーヒー産業はさらに発展し、20世紀にはブラジルが世界最大のコーヒー生産国としての地位を確立しました。


ブラジルコーヒーの多様性

 広大なブラジルの国土は、気候や土壌が地域によって大きく異なるため、コーヒーの風味も多様性に富んでいます。

  • アラビカ種: ブラジルでは主にアラビカ種が栽培されており、その風味豊かな特性で世界中のコーヒー愛好家に愛されています。また、エスピリトサント州ではロブスタ種(カネフォラ種)も盛んに生産されています。
  • 産地の違い: ブラジルにはミナスジェライス州、エスピリトサント州、サンパウロ州など主要な産地があり、それぞれの気候や土壌の違いがコーヒー豆の味わいに影響を与えています。
  • 標高の違い: 高地で育てられたコーヒー豆は酸味が強く香り高い一方、低地で栽培された豆は豊かなコクとしっかりしたボディを持っています。ブラジルのコーヒー産地は中程度の標高が多く、バランスの取れた味わいを生み出しています。
  • 精製方法の違い: ブラジルではナチュラルプロセス(乾燥)やウォッシュドプロセス(洗浄)などの精製方法が使われており、それぞれの方法が風味に独特の違いを与えます。

ダイバースコーヒー:ブラジルコーヒーの多様性を体験

 今月の主役は「ダイバースコーヒー」。このブレンドは、ブラジル各地の異なるコーヒー豆を組み合わせ、多様な風味を楽しめるように作られています。もう一つの特徴は身体に障害を持った方々が働く農園でもあります。

単に異なる産地の豆を混ぜたものではなく、それぞれの豆が持つ独特の特徴を引き出し、丁寧にブレンドされています。


ダイバースコーヒーの産地:セラード、モジアナ、南ミナス

 ダイバースコーヒーに使用されているのは、ブラジルを代表する3つの主要産地、セラード、モジアナ、南ミナスからの豆です。各地域の特徴を見ていきましょう。

  • セラード: ブラジル中央部に位置するセラードは、標高1000メートル前後の高地に広がり、乾燥した気候がコーヒー栽培に理想的な条件を提供しています。この地域のコーヒーは、バランスの取れた風味と力強いコクが特徴です。
  • モジアナ: サンパウロ州北部とミナスジェライス州にまたがるモジアナ地域は、歴史的にコーヒー栽培が盛んな地域です。標高が高いため、繊細な酸味と豊かなアロマが引き立つコーヒーが生産されています。
  • 南ミナス: ブラジル南部のミナスジェライス州は、フルーティな酸味と明るい香りを持つ高品質なコーヒーで知られています。肥沃な火山性土壌と適度な標高が、豊かな風味を持つコーヒーを育みます。

ブラジルの主要なコーヒー産地

ブラジル全土には、数多くのコーヒー産地が存在します。以下はその中でも代表的な産地です。

  • ミナスジェライス州: ブラジル最大のコーヒー生産州で、セラード、モジアナ、南ミナスといった有名な産地が含まれます。
  • エスピリトサント州: 標高が高く、冷涼な気候が特徴です。特に高品質なロブスタ種の栽培で知られています。
  • サンパウロ州: ミナスジェライス州に次ぐ生産量を誇る州で、特にモジアナなどの地域で高品質なアラビカ種が生産されています。

 ブラジルコーヒーの歴史は、国の発展とともに歩んできました。広大な土地、多様な気候、そして人々の努力が、今日のブラジルコーヒーの多様性を形作っています。ダイバースコーヒーは、その豊かな歴史と各産地の魅力を詰め込んだ特別なブレンドです。ぜひ、この一杯でブラジルのコーヒー文化とその多様性を体験してみてください。


味について

 初めて口にした時は薪から漂うスモークとしっかりとした苦味が感じられて深みある重為のコーヒーかなと思いきや、少しずつ飲み進めるほどの甘さが出てきて、カップの底に近づくと柔らかさと穏やかな酸味が現れてきて、なんとも飲みやすさが溢れてくる。ゴツゴツの岩山の隙間を縫うようにしてくぐり抜けた先に一面に広がる草原に癒される、そんなストーリーを見せてくれるコーヒー。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★☆  

フレーバー:薪、スモーク、カカオ

農園データ

生産国ブラジル
標高
品種No2 S17/18、No4/5 S14/15/16
精選セラード、モジアナ、南ミナス

ニカラグア「エルススピロ オレンジブルボン」:語らない紳士の鮮やかな主張とは〜2024年9月限定コーヒー

中米の宝石、ニカラグアコーヒーの歴史

 18世紀、フランスの宣教師たちによってカリブ海地域に持ち込まれたコーヒーは、やがてニカラグアにも伝わり、その肥沃な大地で栽培が始まりました。ニカラグアでのコーヒー栽培が本格化したのは19世紀半ばで、当初はスペイン人やクレオール(スペイン人と現地人の混血)による小規模な栽培が主でした。19世紀後半には、ヨーロッパでのコーヒー需要の高まりに伴い、ニカラグアのコーヒー産業も拡大を続け、輸出品としての地位を確立しました。

20世紀には、政治的混乱や内戦、自然災害など多くの試練に直面しましたが、21世紀に入ると、品質向上と持続可能な農業への取り組みによって、再び世界市場で注目を集めるようになりました。現在では、スペシャルティコーヒーとしての評価も高まり、多くの農家が国際的に認められるコーヒーを生産しています。

ニカラグアコーヒーと人々の暮らし

 ニカラグアの人々にとって、コーヒーは単なる飲み物を超えた存在です。朝の始まりや仕事中の休憩、家族や友人との語らいの場でも、コーヒーは常にそばにあります。コーヒーは彼らの日常生活に深く根ざし、文化の一部として愛されています。

コーヒー栽培は、多くの小規模農家にとって主要な収入源であり、地域経済を支える重要な産業です。コーヒー農園は単なる生産の場を超え、地域コミュニティの核となる存在です。収穫期には家族や友人が協力して収穫作業を行い、コーヒーを媒介にした助け合いや情報交換が行われ、コミュニティ意識が育まれています。

ニカラグアの火山

ニカラグアの自然が育む、多様なコーヒー

 ニカラグアは、多様な地形と気候に恵まれた国です。太平洋とカリブ海の間に位置し、高地から低地まで様々な標高でコーヒーが栽培されています。主にアラビカ種が栽培されており、その豊かな風味は国際的に評価されています。中でもオレンジブルボンは、柑橘系の爽やかな酸味とフルーティーな風味が特徴で、スペシャルティコーヒーとして高い評価を受けています。

オレンジブルボン:ニカラグアコーヒーを代表する品種

 オレンジブルボンは、ブルボン種の変異種で、明るいオレンジ色の果実が特徴です。この品種は、柑橘系の酸味と華やかな香りがあり、オレンジやグレープフルーツを思わせるフルーティーなニュアンスが魅力です。ニカラグアの豊かな火山性土壌と高地の気候は、オレンジブルボンの栽培に非常に適しており、その品質は世界中のコーヒー愛好家から高く評価されています。

ニカラグアコーヒーの産地探訪

 ニカラグアには、多様な気候と土壌に恵まれた複数のコーヒー産地があります。それぞれの地域が独自の風味を持つコーヒーを生み出しています。

  • マタガルパ地区: ニカラグアを代表するコーヒー生産地の一つで、高地で栽培されるコーヒーは豊かな酸味と複雑な風味が特徴です。
  • マサヤ地区: 火山灰が堆積した肥沃な土壌で栽培されるコーヒーは、しっかりとしたコクとボディが特徴です。
  • ヌエバセゴビア地区: 高地と昼夜の寒暖差が大きい環境で栽培されるコーヒーは、繊細な風味と香りが特徴的です。

マタガルパ地区を深掘り:オレンジブルボンの栽培

 マタガルパ地区は、ニカラグアの中でも特に高品質なコーヒーを生産する地域として知られています。高地特有の気候条件、すなわち昼夜の寒暖差や火山性の肥沃な土壌は、コーヒーの糖度を高め、複雑な風味を生み出すのに適しています。地元の農家は、伝統的な栽培方法と最新の技術を融合させ、オレンジブルボンをはじめとする高品質なコーヒーを生産しています。

ニカラグアコーヒーの未来

 ニカラグアコーヒーは、今後も世界中のコーヒー愛好家を魅了し続けるでしょう。環境に配慮した栽培方法の導入や、フェアトレードの推進など、持続可能なコーヒー生産への取り組みが進展しています。オレンジブルボン以外にも、新たな品種の開発や既存品種の改良が進められており、ニカラグアコーヒーの未来は明るいといえます。

ニカラグアコーヒーの魅力

 ニカラグアコーヒーは、その歴史、文化、そして人々の情熱が詰まった「一杯の物語」といえます。豊かな自然環境の中で育まれたコーヒー豆は、味わい深く、多くの人々の生活と文化を彩ります。ニカラグアコーヒーの魅力は、これからも世界中のコーヒー愛好家の心を捉え続けるでしょう。

味について

香りは深煎りしたほうじ茶の香ばしさとオレンジの爽やかさ。

深煎りの豆の味は、旅先のホテルの朝食で、テーブルの真っ白なカップに注いでもらった淹れたてのコーヒーをお腹に何も入っていない状態で飲んだ時のような奥行きのある、それでいて穏やかな苦味に包まれます。柑橘のほのかな酸味が静かに、そして、余韻にはアールグレイの甘みがふわりと

主張はしないのに存在感がある、まるで黙っているのにそこにいるだけで雄弁に鮮やかに語る紳士の佇まいように

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★★  

フレーバー:オレンジ、ほうじ茶、シガー

農園データ

生産国ニカラグア
標高1350〜1450
品種オレンジブルボン
精選フリーウォッシュド、パルプドナチュラル

パプアニューギニア「マエササ」:コーヒーが国をつくる 真夏のプールサイドのオレンジカクテル〜2024年8月限定コーヒー

1930年代から続く、パプアニューギニアのコーヒー物語

パプアニューギニアのコーヒー栽培は、1930年代にヨーロッパの宣教師がジャマイカからブルーマウンテン種の苗木を持ち込んだことから始まりました。1950年代に入ると本格的な栽培が始まり、シグリなどのブランドが誕生。1975年のオーストラリアからの独立後、独自の栽培技術を確立し、世界的に注目される産地へと成長を遂げました。

コーヒー産業の成長が原動力に

1975年の独立は、パプアニューギニアのコーヒー産業に大きな転機をもたらしました。コーヒーは、単なる農産物ではなく、国の経済を支え、国民の生活水準向上に貢献する重要な産業へと成長しました。

特に、今回のコーヒー産地でもある東部高地州のカイナントゥ地区では、独立前からコーヒー栽培が盛んになり、住民たちの経済的自立を支えました。コーヒーから得られる収入は、道路や学校、医療施設などのインフラ整備に充てられ、地域社会の発展に貢献しました。コーヒーは、単なる農産物ではなく、地域住民の生活を支え、コミュニティを活性化する力強い存在となったのです。

カイナントゥ地区ウスルファ:自然が育む極上のコーヒー

カイナントゥ地区ウスルファ地域は、標高約1,800メートルの高地に位置し、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。また、火山灰を含む肥沃な土壌がコーヒー栽培に最適な環境を作り出しています。

  • 標高の高さ: 高地でゆっくりと熟成したコーヒーチェリーは、豊かな風味と複雑な味わいを生み出します。
  • 昼夜の寒暖差: 昼夜の温度差が大きいことで、コーヒー豆の糖度が高まり、甘みが際立ちます。
  • 火山灰土壌: ミネラル豊富な火山灰土壌は、コーヒー豆に独特の風味を与えます。

これらの自然条件が織りなすウスルファ産のコーヒーは、柑橘系の爽やかな酸味と豊かなコク、そしてフローラルやスパイスのような香りが特徴です。まるでジャングルの香りが口いっぱいに広がるような、複雑で奥深い味わいが魅力です。

ウスルファ産コーヒーの品種:ティピカ種とブルボン種

ウスルファ地域で主に栽培されているのは、ティピカ種とブルボン種です。ティピカ種は、アラビカ種の中でも最も古い品種の一つで、繊細な酸味と上品な香りが特徴です。ブルボン種は、ティピカ種の変種で、果実味が豊かで、コクのある味わいが特徴です。これらの品種が、ウスルファ産コーヒーの多様な風味を生み出しています。

パプアニューギニアのコーヒー文化

パプアニューギニアでは、コーヒーは単なる飲み物ではなく、人々の生活に深く根ざした文化として存在しています。コーヒーを飲みながら談笑する習慣は、地域社会の絆を深める上で重要な役割を果たしています。また、コーヒー豆の収穫祭やコーヒー品評会など、コーヒーに関連した様々なイベントが開催されており、コーヒー文化はますます発展しています。

パプアニューギニア・カイナントゥ地区ウスルファ産コーヒーは、豊かな自然と人々の努力によって生み出される、世界が認める高品質なコーヒーです。その複雑で深みのある味わいは、コーヒー愛好家を魅了し続けており、パプアニューギニアの独立を支えた礎の一つとして、その価値は今後もますます高まっていくことでしょう。

味について

真夏のプールに浮かぶ色とりどりの浮き輪のようなビビッドな酸味がファーストインパクト、砂浜で足を繰り返す波のように苦味がじんわりと届いてくる。フレーバーはプールサイドのオレンジカクテルのようにジューシーに、グラスに添えたカカオの組み合わせが酸味をまろやかに。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★★★

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★☆  

フレーバー:オレンジ、カカオ、レモン

農園データ

生産国パプアニューギニア
標高1800〜1950
品種ティピカ、アルーシャ、ブルボン
精選ウォッシュド

エルサルバドルの黄金地帯に位置するアグアカリエンテ農園:伝統と革新が生む上質なコーヒー〜2024年7月限定コーヒー

エルサルバドルとは?

 エルサルバドルは、中米七カ国の中で最も小さい国で、その面積は九州の約半分と同じくらいです。グアテマラとホンジュラスの間に位置し、火山や湖が点在しています。サトウキビやコーヒーなどの農業と輸出が主な産業となっています。

Googlemapより

「幸せと悲しみの果実」エルサルバドルコーヒーの歴史

 エルサルバドルコーヒーは、その複雑な味わいと豊かな歴史で知られるスペシャルティコーヒーです。しかし、その歴史は決して平坦なものではありませんでした。

19世紀前半にグアテマラから持ち込まれたコーヒーは、エルサルバドル経済の重要な柱となりました。しかし、1930年代の世界恐慌による価格暴落は、貧困にあえぐ農民たちの不満を爆発させ、1932年には大規模な農民蜂起(La Matanza)を引き起こしました。この悲劇的な事件では、約3万人の命が失われたと言われています。

その後、コーヒー生産は衰退しましたが、1970年代以降、ヨーロッパ移民による再興と、「14家族(Catorce Familias)」と呼ばれる寡頭支配層の登場によって再び発展を遂げました。彼らは高品質なコーヒー豆の生産に注力し、エルサルバドルコーヒーを世界中に知らしめました。

しかし、この繁栄の陰には、大きな格差が存在しました。「14家族」は莫大な富を手にし、多くの農地を支配しました。一方、農村部の小規模生産者は、低賃金で劣悪な労働環境に苦しむ労働者となりました。こうした支配層との格差が、1980年代に勃発したエルサルバドル内戦の引き金となりました。

聖職者を中心とした農民解放を掲げる左派ゲリラ「ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)」と、「14家族」の資金援助を受けた右派政府軍との間で争われたこの内戦は、12年間にも及び、約7万5千人の犠牲者を出す悲惨な結果となりました。しかし、1992年に国連の仲介で和平合意が成立し、ようやく長い戦いに終止符が打たれました。

内戦終結後の新たな希望

 内戦終結後、エルサルバドルコーヒー産業は新たな道を歩み始めました。民主主義の確立と農地改革によって、小規模農家もコーヒー生産に参入できるようになり、品質向上のための取り組みも活発化しました。

現在、エルサルバドルコーヒーは、複雑な味わいが楽しめるスペシャルティコーヒーとして世界中で評価されています。

エルサルバドルコーヒーの品種と土壌

 エルサルバドルコーヒーには、ブルボン種、アラビカ種、マラゴジッペ種など様々な品種があります。ブルボン種はエルサルバドルコーヒーの代表的な品種であり、フルーティーな香りとまろやかな酸味が特徴です。近年では、高品質なマラゴジッペ種の栽培も盛んになっています。

エルサルバドルの土壌は、火山灰由来のミネラル豊富な火山性土壌です。この土壌は、コーヒーの木の生育に適しており、良質なコーヒー豆の生産に貢献しています。

アグアカリエンテ農園:伝統と革新の融合

 エルサルバドル西部のアタコ地区に位置するアグアカリエンテ農園は、親子三代続く歴史ある農園です。涼しい平均気温、豊富な降雨量、良質な火山性土壌は、コーヒー栽培に最適な環境を提供しています。

この農園の特徴は、伝統的な水洗処理に加え、農園内に湧き出る冷たいためぐみ豊富な湧き水を利用した発酵処理を行っていること。このユニークな処理方法は、クリアな味わいと上品な酸味を生み出すと言われています。

アグアカリエンテ農園では、収穫されたコーヒー豆を丁寧に選別し、天日乾燥させています。また、最新の設備を導入し、品質管理にも力を入れています。こうした伝統と革新の融合が、高品質なアグアカリエンテコーヒーを生み出すのです。

味について

 暖炉にくべた薪が崩れてカランと鳴るようなまろやかさに包まれます。炭の香りがさらに心身をリラックスさせてくれます。余韻には爽やかな桃の香りが漂います。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★☆  

フレーバー:炭、桃の皮

農園データ

生産国エルサルバドル
標高
品種ブルボン、パカス
精選天日乾燥

苦難を乗り越え、世界を魅了する希少なスペシャルティコーヒー〜ルワンダ スカイヒル(2024年6月限定コーヒー)

はじめに

 今月のコーヒーはアフリカ、ルワンダからです。ルワンダは、その美しい景観と豊かな文化だけでなく、近年では高品質のコーヒーの生産地としても注目されています。ルワンダコーヒーは独特の風味と高い品質で、世界中のコーヒー愛好家を魅了しています。ルワンダコーヒーの歴史やその特徴から紹介させてください。

ルワンダコーヒーの歴史

コーヒー栽培の始まり

 ルワンダにコーヒーが導入されたのは、1900年代初頭のドイツ植民地時代です。その後、ベルギーの統治下でコーヒー生産が義務付けられ、コーヒー産業の基盤が築かれました。

ジェノサイドとコーヒー産業への影響

 1994年のルワンダジェノサイドは、国全体に壊滅的な影響を及ぼし、コーヒー産業も大打撃を受けました。この悲劇的な出来事で多くの農園が荒廃し、生産量が大幅に減少しました。この時期を描いた映画「ホテルルワンダ」は、ジェノサイドの恐怖と混乱をリアルに描写し、多くの命を救ったポール・ルセサバギナの勇気ある行動を描いています。

復興と品質改善への取り組み

 ジェノサイド後、ルワンダ政府と国際支援機関はコーヒー産業の復興に向けた取り組みを開始しました。特に品質改善に注力し、農家への教育やインフラの整備が進められました。この結果、ルワンダコーヒーは徐々に国際市場で高く評価されるようになりました。

ルワンダコーヒーの特徴

テロワールと風味

 ルワンダは高地で肥沃な火山灰土壌を持つ地域が多く、これがコーヒー豆に独特の風味を与えます。ルワンダコーヒーは、柑橘系の明るい酸味とベリーのようなフルーティーな香りが特徴です。

スペシャルティコーヒーとしての位置付け

 ルワンダのコーヒーは、スペシャルティコーヒー市場でも高く評価されています。カッピングスコアで高得点を獲得し、国際的なコーヒーコンペティションでも入賞することが増えています。

苦難を乗り越えた成功の裏側

農家の努力と国際協力

 ルワンダのコーヒー産業の成功は、農家一人ひとりの努力と国際的な協力の賜物です。フェアトレードやダイレクトトレードを通じて、農家は適正な価格でコーヒーを販売できるようになり、生活の向上にも寄与しています。

女性の役割

 ルワンダでは、女性がコーヒー生産に大きく貢献しています。ジェノサイド後、多くの男性が亡くなり、女性が家庭を支える役割を担うようになりました。現在では、女性が主導するコーヒー協同組合も多く、品質向上と地域社会の発展に寄与しています。

コーヒーとルワンダの文化

 ルワンダでは、コーヒーは単なる産業作物ではなく、文化やコミュニティの一部です。コーヒーの栽培や収穫、加工の過程には、多くの家族や地域社会が関わっており、これがルワンダの社会的繋がりを強化しています。また、コーヒーの収入は教育や医療などの社会的サービスの向上にも寄与しています。

世界を魅了する希少なルワンダコーヒー

国際的な評価

 ルワンダコーヒーは、数々の国際的な賞を受賞しており、その希少性と品質の高さが認められています。特に、Cup of Excellenceなどの競技会では、ルワンダのコーヒーが毎年上位にランクインしています。

未来への展望

 ルワンダコーヒーは、これからも品質向上を続け、世界中のコーヒー愛好家を魅了し続けることでしょう。持続可能な農業と品質管理を重視することで、さらなる発展が期待されます。

ルワンダコーヒーは、過去の苦難を乗り越え、現在では世界中のコーヒー愛好家を魅了する希少なスペシャルティコーヒーとして知られています。美しい風味と品質の高さは、農家の努力と国際的な支援の賜物です。これからもルワンダコーヒーの発展と成功を見守りたいと思います。

コーヒーの味

 香り高く、コク深い。酸味の余韻が心地よい。梨やリンゴの青い酸味感を強く感じながらも、ジューシーな口当たりと甘みが、爽やかにバランスよく受け止めています。

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★★★

甘味 ★★☆

フレーバー:梨、レモン

農園データ

生産国ルワンダ
生産地域
品種ブルボン
標高1,700〜1,900m
精製ウォッシュド、天日乾燥

世界で一番新しい国のコーヒー 宣教師とSHOGUN〜東ティモール レテフォホ(2024年5月限定コーヒー)

世界でいちばん新しい国

東ティモール地図

外務省HPより

 インドネシアの東、ティモール島の東部にその国はあります。

人口は 約134万人(2022年)、国土は日本の岩手県ほどの大きさで、地形は山々が連なっています。

東ティモール風景

photo by United Nations Photo CC

その地は、1586年からポルトガルの植民地でした。1974年にインドネシアが東ティモールを支配しました。1999年からの独立運動を経て、様々な激しい争いを経た上に、2002年5月20日に独立しました。

宗教は99%がキリスト教です。インドネシアの90%はイスラム教ですので、住民の背景が異なることがわかります。

カトリック教会とSHOGUN

 東ティモールに最初に訪れたのは、ポルトガルのカトリック教会です。1515年から宣教活動を始めたと言われます。

カトリック教会と言えば、日本の宣教師フランシスコ・ザビエルのイエズス会が有名ですね。ザビエルもポルトガル国王の命を受けて日本にやってきたのです。

カトリック教会や宣教師による東アジアでの布教活動と、宗教の権力が、政治、経済に深く繋がっている様子は、最近話題の真田広之主演のディズニードラマ「SHOGUN」にて、非常に興味深く描かれています。

ザビエルを始めとしたカトリック宣教師達、そして、ポルトガルがなぜ日本の歴史の重要な場面で登場するのか、その一端を感じることができるでしょう。

Screenshot

SHOGUNサイト

話は逸れましたが、そう、東ティモールは誕生してまだ22年の新しい国です。

東ティモールでは、石油産業が中心で、実産業として、コーヒーは唯一の輸出産業であり、国民の4人に1人がコーヒー生産者と言われています。

実は、東ティモールのコーヒー産業には、日本は深い関わりあります。

日本によるコーヒー支援

 2003年、まだ日本のNPO法人が 東ティモール復興のため、コーヒー生産者支援を始めました。

当初35世帯だった農家は、現在約600世帯に増えました。

「品質管理」という概念を伝え、チェリーの選別、乾燥、精選工程にいたるまで、指導を重ねてきました。

長年にわたる努力が実り、高品質コーヒーができるようになりました。

東ティモールコーヒー豆

photo by United Nations Photo CC

※上記掲載の写真は本コーヒー農園とは関係ありません。

 その東ティモールから届けられた「レテフォホ」です。

口当たり柔らかく、優しい酸味、広がる香ばし、落ち着いたコク

口の中で柑橘のほんのりとした酸っぱさとカカオの甘みがふくよかに広がります。

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

フレーバー:カカオ、オレンジ、シガー

農園データ

生産国東ティモール
生産地域レテフォホ、ゴウロロ
品種ティピカ
標高1,500m
精製ウォッシュド

ガブリエルが運んだティピカ〜完熟豆の甘味〜ドミニカ シルベストレナチュラルティピカ(2024年4月限定コーヒー)

カブリエルとティピカの苗

 彼の名はガブリエル・ド・クリュー

ガブリエルは大西洋の上を何日も彷徨っていた。

目的地はカリブ海に浮かぶ美しい島、マルティニーク島、

カブリエルは、そこにコーヒーの苗を持ち込むため航海を続けていた。

ベタ凪が何日も続き、ガブリエルの船は大海原に漂流していた。

食料や水もだんだん底を着き始め、せっかく持ち込んだコーヒーの苗も、一つ二つと萎れていき、生きているのは、後一つとなってしまった。

ガブリエルの自身の飲み水も僅かとなり、もはや絶望だけが残っていました。

これまでと思うと、視界に入ったコーヒーの最後の苗木、最後の飲み水の一滴を、ふと、その最後その苗に与えました。

すると、今までの凪が嘘のように風が吹き始め、帆が勢いよく膨らみ、進み始めました。

そして、ガブリエルの視界には、マルティニーク島が現れたのです。

最後の1本のコーヒーの苗とともに上陸しました。そのコーヒーの種はティピカ。さらにこの数年後の1735年、ティピカはドミニカに持ち込まれました。

コロンブスのイスパニョーラ島

 美しい景色を誇るカリブ海の産地、ドミニカ共和国。コロンブスが新世界の発見後、最初の町を建設したイスパニョーラ島。

イスパニョーラ島東部に位置する共和制国家です。小アンティル諸島のドミニカ島にあるドミニカ国と区別するため「共和国」をつけて呼ばれています。

ドミニカでは「野球」が有名です。数多くの野球場があり、プロ野球も6チームあります。
大リーグの有名選手で通算609本塁打のサミー・ソーサは、ドミニカ出身であり英雄です。現在も、大リーガーのおよそ10%がドミニカ出身のようです。

バオルコ山脈が生み出すアロマ

 ドミニカ南西部に位置するバラオナ地方のバオルコ山脈は、石灰岩質の地盤を腐葉土が覆った土壌。山の斜面が雲で覆われることにより年間を通じて、まんべんなく雨を降らせます。

この雲が強い日差しからコーヒーの木を守り、表土に湿りを与え、コーヒーの木は育ちます。カリブ独特の軽い口当たりと柔らかな酸味と甘み、果実感のある香ばしいアロマが特徴です。

農家の小農園で、ほぼ野生(シルベストレ)に近い状態ながらも上質なコーヒーを生産しています。

ハニーナチュラルの熟成

Screenshot

 コーヒーチェリーが完熟した豆を手摘みし、ミューシレージ(粘液質)残して天日乾燥させるハニープロセス(ワイニープロセス)でコーヒー豆になります。

コーヒーチェリーの精選処理ではウォッシュドというチェリーを水洗いして、果肉を除去した状態で乾燥させる方式が主流となっていますが、

この際に、ミューシレージと呼ばれる豆を覆う粘液質部分だけ、残した上で、乾燥させる方式をハニー・ワイニープロセス(パルプドナチュラル)という方法があります。

ハニーやワイニー呼ばれるのは、粘液質の果実の甘みが、豆に浸透することで蜂蜜の風味や熟成したワインのような甘味が出るためと言われています。

熟成された甘味 ラズベリー&チョコレート

 強いラズベリーと、オレンジの甘い香りが鼻を突き抜けていきます。

余韻にはチョコレート。

しっかりとコクが感じられ、酸味や苦みはほとんどありません。

甘ったるさは決してなく、単一ティピカらしく雑味なく、すっきりと。

ハニープロセスでチェリーの甘みが沁み込み、ベリー&チョコの甘味の余韻がとても長く感じられます。

苦味 ★☆☆

酸味 ★☆☆

コク ★★★

甘味 ★★★

フレーバー:ラズベリー、オレンジ、カカオ

農園データ

生産国ドミニカ
生産地域バラオナ州 バオルコ山脈
品種品種ティピカ
標高800〜1,500m
精製パルプドナチュラル

ケニアのコーヒーはなぜ美味い?〜サファリ(2024年3月限定コーヒー)

ケニアってどこ?

 ケニアは東アフリカに位置する国で、東アフリカでも最も経済の発展しています。
東アフリカの金融中心地である首都ナイロビ、そして東アフリカ最大の港であるモンバサがあります。

ケニア地図

主要産業は農業で、特にコーヒー、紅茶が盛んです。「コーヒー」の始まりは、1893年、スコットランドの伝道師が農園を開拓したことに端を発し、長い歴史を持っています。

ケニアのコーヒーはなぜ美味い

 コーヒーの原種であるケニアのアラビカ種は、標高1,400〜2,000メートルの高地に見られる、火山性土壌で育てられます。

ケニアの平均気温は、19℃くらいで、雨は、一年を通じてほどよく降り、土壌は水はけの良い赤土のロームです。肥沃な赤い火山性土が斜面を厚く覆い、水はけの良い環境を作り出しています。

ほとんど全てのケニアコーヒーは水洗式精製法です。赤く熟した実のみを収穫し、収穫されたコーヒーチェリー(コーヒーの赤い実)は、加工する前に選別され、未熟、加熟、病害のある豆が取り除かれます。そして、加圧して、果肉除去をした後、コーヒー豆を乾燥台の上で天日干しにします。

ケニアコーヒーの生産は、種からコップに注がれるまでシステム的な要網に従っていて、苗床、農園、果肉除去、豆の破砕、格付けと全てが管理されています。

ケニアのサファリ

 本コーヒー「サファリ」は、毎年1万ロット以上のケニアコーヒーを鑑定する現地の専門家が、カップ評価をして厳選したコーヒーです。絶妙なバランスで産み出される、力強くも鮮やかなカップ品質です。

オレンジが突き抜ける

 カップに近づけた瞬間、シトラスの香り高さが鼻を伸びやかに突き抜けていきます。

口当たりはとても柔らかくなめらか。しっかりとコクも感じます。

甘味、酸味と全体バランスも良いです。

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

フレーバー:オレンジ、木の皮、ナッツ

農園データ

生産国ケニア
生産地域キリンヤガ地区、キアンブ地区、ニエリ地区、ゴンゴマ地区、ケリチョ地区
品種SL28、SL34
標高1,750〜1,900m
精製ウォッシュド(水洗)