ベトナムコーヒーダムダ 変化と成長の国

5月のコーヒーはベトナム「ダムダ」です。筆者もベトナムに幾度か出張で訪れたことがありますので、その時の写真も一緒に添えさせて頂きます。

ベトナムという国は実はコーヒーを飲む人は大変多く、

街にはコーヒーショップが溢れます。若者向けのおしゃれなコーヒースタンドも

また、

ベトナム式コーヒーというとても濃く苦味のあるドゥミタスコーヒーのようなスタイルに、砂糖をたっぷり入れてのむ伝統コーヒーも有名です。

成長盛んな東南アジアの中でも世界の工場として(メードインベトナムのタグは服やスニーカーなどでよく見ますよね)、そして近年ではIT産業として、大変脚光を浴びている国です。

ダムダとは、ベトナム語で、コーヒーがおいしい時、香りが良い時の感嘆詞、日本語だと、「うまい」でしょうか。

ベトナムのコーヒーはロブスタ種が大半ですが、

ダムダはスマトラ式で精選されたアラビカコーヒーとなります。

 

最初の印象は舌にざらざらした苦味と酸味

なんだかアンバランスだけど、飲みこんだ余韻には、

しっかりとうまみとコクが残る。

決して洗練されていないけど、秘めた力強さや

成長エネルギーに溢れるベトナムという国を思い浮かべてしまいます。

写真はベトナムで有名なバインミーです。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★☆☆

焙煎 ★☆☆

 

ゲシャビレッジ 始まりのコーヒー

桜が各地で咲き誇っています。例年、桜の満開とともに雨が降り出し、ただでさえ僅かな満開シーズンが、あっという間に終わってしまう印象でしたが、今年は長く楽しめますね。

4月1日には新たな元号も公表されました。平成という時代がいよいよ終わり、新しい時代の幕開けです。

令和

日本最古の歌集「万葉集」の「梅花(うめのはな)の歌三十二首」。日本の古典に由来する元号は初めてのようです。

初春の月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風ぎ、梅は鏡前の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫す

令月とはめでたい月という意味のようで、春の夜にうかぶ満月のことでしょうか。春の満月を眺めると、肌に柔らかい風があたる。そんな春の情景でしょうか。

4月のコーヒーはエチオピア「ゲシャビレッジ」です。

前回のエチオピアコーヒー記事はこちら。

農園主

二人は農園主の写真です。二人はエチオピアコーヒーに魅せられ、

米国からエチオピアに移住し、ゼロからコーヒーを生産を始めました。

理想の環境条件を探したうえに、出会ったのがゲシャ村でした。

 

6年の歳月を経て、たどり着いた高品質のコーヒー、それがこの「ゲシャビレッジ」です。

コーヒー品種として有名なゲイシャ種、その原種が生まれた地です。

香りが伸びやかに広がります。

バランスよく、コクは豊かで、後味はクリーン

酸味がビビッドですが、甘みもありとても爽やかです。

若々しさと華やかさを兼ねそろえた、これからがとても楽しみなコーヒーです。

 

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

焙煎 ★☆☆

 

ガテマラ 桜とチェリーとべっこう飴

3月になり、早咲きの桜が咲き始めています。

満開までのカウントダウンが始まったようです。

写真は管理人が3月初旬に訪れた東京は芝、増上寺近辺のものです。

桜

増上寺

3月のコーヒーは中米ガテマラ共和国から「ガテマラ ナチュラル」です。

前回のガテマラコーヒー記事はこちら。

コーヒーチェリーを生豆に精製する工程として、中米では一度水につけて発酵させる「ウォッシュド」が主流ですが、こちらははチェリーをそのまま天日乾燥させる「ナチュラル」を採用しているのです。

コーヒー加工工場

チェリーの状態のまま天日乾燥させるため、チェリー由来の甘味や香りが豆にまで浸透するのです。

また、ナチュラル製法の最大の特徴は、チェリー段階から、完熟のレッドチェリーのみを選別して天日乾燥にかけていることです。これにより、雑味の少ない、クリーンな風味に仕上げることができるのです。

コーヒーチェリーの乾燥

乾燥は、パティオやアフリカンベッドにて行うことで、太陽の恵みをしっかりと享受した、風味豊かなコーヒーが生まれました。

べっこう飴、水飴のような独特の甘い香りがあります。ナチュラルならではの天日干しされたチェリーが浸透したものでしょうか。

深煎りの苦味が強いですが、口当たりはとても柔らかいです。

懐かしい飴の香りがふと、子供の頃に通った駄菓子屋の思い出が浮かんできます。

少し高いところに掛けてある食べたことのないお菓子、ずっとそこにあるけど手に取ったことはない、でも気になっている。ある時、勇気を出して買ってみて、どきどきしながら、食べてみる。
最初は初めての味に、不味いなと思うのだけど、口の中でだんだん美味しくなって、また食べたくなる。駄菓子屋にはこんな冒険がたくさんでした。

このコーヒーを飲んでみてどんな景色が浮かびましたか?

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★☆☆

コク ★★☆

焙煎 ★★★

 

ペルーから春がやってくる

年が明けたと思えば早2月、時の移ろいの早きこと。

この週末はぐっと暖かくなり春の到来を感じました。

梅は咲き始め、桜がつぼみをあらわし、開花をじっと待っているようです。

春の訪れは一年の中でもまさに感動的なものですね。

2月のコーヒーはペルーから「マチュピチュ」です。

前回のペルーコーヒー記事はこちら。

甘さのあるナッツの香り、

味はまろやか、のみやすい

豆の香ばしさ、甘みのある酸味が風味を引き立てる

素晴らしいバランス

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★☆☆

コク ★★☆

焙煎 ★★☆



新しい時代に変わらぬ味を ボリビアマルティン

新年明けましておめでとうございます。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

今年は日本にとって節目となる年です。

平成という時代が30年の時を経て終わり、新しい時代が始まります。

管理人の私は昭和生まれですが、昭和・平成・新元号という3時代を生きることとなります。

これから新時代の子供達が誕生していき、彼らからすると、昭和生まれの私は、私の視点でいう、大正時代生まれのような古めかしさを感じると思うと少し目まいがしてきます。

 ○

西原珈琲店は皆様に支えられ、昨年、創業30周年を迎えました。平成時代の始まる前年に誕生し、まさに平成とともに生きてきました。

新しい時代は、なんだか、平成よりも時の流れがもっと早く進むような気がします。少子高齢化、人口減少と外国人、デジタルから人口知能、、、駆け抜ける時代だからこそ、人がほっと寛げる空間と、心が癒される味を、変わらず提供できる店であり続ける。

さて、前置きが長くなりましたが、2019年最初の1月のコーヒーはボリビアから「ボリビア マルティン」です。

ボリビアは南米内陸部にある国です。首都ラパスはアンデス山脈の中に位置し、なんと標高は4000メートルと、世界一高いところにある首都と呼ばれています。

有名な観光地はウユニ塩湖などがございます。

コーヒー栽培は、アンデス山脈と熱帯雨林に挟まる標高1300~2000メートルのエリアで行われています。

 ボリビア地図

前回のボリビアコーヒー記事はこちら。

コーヒー豆の名前の「マルティン」は、生産者マルティン・イラリさんから付けました。コーヒーの主要生産地でもある、カラナビ山中の村で、小規模農園ながら、高品質のコーヒーを栽培しつつ、村の農協のリーダーとして生産品質向上に日々励んでいます。

コーヒー栽培者

リーフの香り

口の中で少しとろみを感じる柔らかさと

心地よい酸味が広がります。

ほんのり苦味がじわじわとやってきます。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

焙煎 ★★☆

ヒマラヤ 月を追いかけて

12月のコーヒーはネパールから「ネパール アンナプルナ ヒマラヤ」です。

ネパールコーヒーの歴史は1930年代にヒラギリという僧侶がミャンマーから持ち込んだことに発すると言われています。

しかし、その後長らくは栽培ノウハウに恵まれず、発展はしてきませんでしたが、1990年前半から、日本発のODAの支援により質が向上し、収穫量も着実増えてきました。

ネパールコーヒーの特徴はやはり、ヒマラヤにあります。

日中は太陽の日を目いっぱい浴び、夜間はヒマラヤの冷気にさらされます。この昼夜の大きな寒暖差において、果実がじっくりと熟していくのです。

ヒマラヤ

アンプルナとは

東西50キロにわたって連なるヒマラヤ山脈の総称であり、

サンスクリット語で 豊穣 を意味します。

農園

前回のネパールコーヒー記事はこちら。

なんとも爽やかな味わい

けっして余韻を残さないから

もう一度、確かめるように飲んで

そしてまたもう一度

強い個性ではないけど しずかにうったえる

冬に上った 高い月を追いかけるように 何度も何度も飲んでしまう

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★☆☆

コク ★☆☆

焙煎 ★☆☆

赤道直下のアラビカ、バナナシェードに育まれて

11月のコーヒーはエクアドルから「エクアドル グレートマウンテン」です。

エクアドルは赤道直下に位置し、南部の高地と西部の海外でアラビカ種のコーヒーが生産されています。

 

グレートマウンテンは、年間降水量が安定した高地のマナビ地区で栽培され、

高級アラビカコーヒー産地として名高い産地です。

バナナやココアのシェードツリーの日陰と最適な湿度の中で、

大粒のコーヒーが出来上がります。

 

前回のエクアドルコーヒーの記事はこちら。

口に含むとナッツの触感が広がります。
舌にからまる酸味を追いかけるように深いコクが広がります。
後味は軽く、余韻は爽やかです。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

焙煎 ★☆☆

コンゴコーヒー 青さの中の情熱

10月のコーヒーはコンゴ民主共和国から「コンゴ ペイザンヌ」です。

アフリカ大陸中央部のコンゴ川流域に広がり、世界で11番目の面積を擁する広大な国家であるコンゴ民主共和国。

南部は高地、西部は台地、北部は草原、東部は高原であり、コーヒー栽培は東部のキブ州、および南キブ州で行われております。

農園

コーヒーはベルギー植民地時代に導入され、多くのコーヒー農園が開発されました。アラビカ種は19世紀末に中米から、ロブスタ種は20世紀初頭にインドネシアとセイロン(現スリランカ)から導入されたと言われています。

コンゴ民主共和国は、近年高品質なコーヒーが産出されていることで注目されている「ルワンダ」の隣国であり、現在ではコンゴ民主共和国でも欧米の支援によってアラビカ種の高品質なコーヒー生産に力を入れています。

農園

「コンゴ ペイザンヌ」は北キブ州ブテンボにある2000人の組合員で成り立つ生産者組合COOPADEによって生産されています。
品種はブルーマウンテンとブルボン系のルマンガホです。

コーヒーチェリー

前回のコンゴコーヒーの記事はこちら。

さて、飲んでみましょう。

青草の香りと強い酸味ににはっとします。

苦味は少なく、コクも抑えめ、とても若々しさや青々しさの印象が強く、

酸味の力強い余韻には、なにか作り手のこれから成長していく情熱を感じる一杯です。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★★

コク ★☆☆

焙煎 ★☆☆

南国の香り、煙の中に見つけて

9月のコーヒーはパプアニューギニアから「トロピカルマウンテン」です。

パプアニューギニアは、熱帯気候でモンスーンの影響化にあり、年中高温多湿の国です。

パプアニューギニアにコーヒーが導入されたのは1930年代。
ジャマイカ・ケニア・タンザニア・などの原産地からもたらされ、
本格的な栽培は1950年代にブルーマウンテンの種子が持ち込まれた頃から始まりました。

パプアニューギニア農園

「トロピカルマウンテン」はパプアニューギニア政府企業である
Coffee Industry Corporationが開発したオリジナルブランドです。

小農家中心のパプアニューギニアのコーヒー栽培は非常に品質が高いと世界で評価されています。

前回のパプアニューギニアの記事はこちら。

さて、飲んでみましょう。

まずカップに近づくと香り立つ炭火スモーク

苦味を包む燻しフレーバーが特徴的な風味を作っています。

ビタネスがありながらも後味はすっきりとしていて、

コクもしっかりと感じられます。

酸味はほとんど感じられません。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★☆☆

コク ★★☆

焙煎 ★★★