タイサイアムブルームーン〜世界最大のアヘン栽培地がコーヒー木に入れ替わった話

タイ最北端のゴールデントライアングルと呼ばれる一帯は悪名高い世界最大のアヘン栽培地でした。コーヒーの木がその産業を覆した話です。

2022年2月限定コーヒーはからタイより「サイアム ブルームーン」です。

タイの最北端に位置するチェンライ県ドイチャン村のコーヒーです。

チェンライは、ミャンマー、ラオスとの国境沿いにあり、一帯はゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)と呼ばれています。

タイとラオスの間を流れるメコン川と、タイとミャンマーの間を流れるルアック川が合流し、3国が国境を接する一帯で、ビューポイントからは、雄大な景色を望むことができます。

このゴールデントライアングルが、かつて、麻薬の原料であるケシの世界最大の生産地出会ったことを知っていますでしょうか?それを知ると、ゴールデン(黄金)の意味は全く異なります。麻薬の密造も行われ、利権争うによる武力衝突などもあり、極めて治安の悪い地域でした。

ケシの栽培は、国境を行き来する、国籍を持たない山岳少数民族が担っていました。その栽培は、焼畑耕作という方法で行われていました。栄養豊富な森を焼き払った地に農地を切り拓き、ケシを栽培し、養分がなくなると、次の森を焼くという伝統的な耕作方法です。

一帯の山は焼畑耕作ではげ山になっていて、「ブラック・マウンテン(黒い山)」と呼ばれていたようです

ケシ栽培による麻薬の流通によって莫大のお金が生まれるものの、実際の栽培を行う少数民族は、貧困の中にあり、また、麻薬使用による中毒症状などの健康被害も深刻でした。

タイ王国政府は、この産業を止めようにも、一体の村民の唯一の収入手段であることから、単純な取り締まりによって解決は不可能でした。

ケシの代わりにコーヒーの木を植えよう

こう提唱したのは、1970年代当時のプミポン国王でした。王国政府が主導し、コーヒーの木の植樹から、栽培方法の指導、流通手段の確立など、地道な産業作りを続けるとともに、学校や診療所の設立など生活インフラも整備することで、ついに1990年代には、タイ国側でのケシ栽培は根絶したのです。

現在は、年間2000tのコーヒーが出荷され、高品質なコーヒーは世界でも評価されています。

麻薬産業による現地住民の貧困問題と、健康被害、インフラ問題が、コーヒーの力によって、解決された世界でも有数の成功事例と言えるでしょう。もちろん、王国政府による資金援助と地域住民、そして支援者による渾身の努力の積み重ねがあった上の成果です。

今回お届けするコーヒーは、チェンライ有数のコーヒー産地として、北部のドイトゥン村、西部のドイチャン村がありますが、今回お届けする「サイアム ブルームーン」は、ドイチャン村産で、こちらも山岳民族であるアカ族やリソー族によって栽培されました。

まだまだ、産業は始まりにあります。この成果が継続していくためには、高品質なコーヒーを現地農家が作ることで適正価格で販売され、地域経済が循環していくことが欠かせません。タイからやってきた、一杯の高品質なコーヒーを飲むことは、タイチャンライの山岳民族の貧困や社会問題解決への一票でもあるのです。

今世の中の大きなトレンドであるSDGsですが、コーヒーとSDGsとの深い繋がりを書いた本があります。ご興味ありましたら是非読んでみてください。「コーヒーで読み解くSDGs(ポプラ社)」

「サイアム ブルームーン」は、その昔、ブッダが一晩泊まったとさせる聖なる泉の水からその名が生まれました。月光が煌びやかに水面に映り、光の柱が浮かび上がるようにみえるパワースポットとされる泉があります。ラマ九世が戴冠式でも使用したとされるこの聖なる水を精選に使用しています。

香りは伸びやかに抜けて、素晴らしいです。

最初、甘酸っぱさが口の中で駆け回ります。

まろやかな風味と伸びやかな香りが良いバランスとなっています。

もう少し、コクが欲しいところですが、バランスはよく、若草の芽吹きのような立春にふさわしい味です。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘み ★★☆

焙煎 ★★☆

フレーバー:黒みつ、青草、炭、フローラル

タイコーヒー ブルームーン 月光のパワーをカップに

9月のコーヒーはタイから「ブルームーン」です。

タイのコーヒーは実に4年ぶりで、とても楽しみですね。

タイのチェンライという山岳エリアで収穫されました。

コーヒーチェリーが熟した赤と黄色の完熟果実を厳選してブレンド。

ブッダが一晩泊まったとされる、月光の光の柱が水面に浮かぶ泉

現地のパワースポットの水を精選(ウォッシュド)に使っています。

口に含んだ瞬間ビビットな酸味が鼻まで一気に通り抜けます。

さわやかな酸味の風の後には香ばしくまろやかな風味がじわじわと広がります。

余韻には、アジアンハーブのような青々しいフレーバーがほんのり漂い爽快感を最後まで楽しませてくれます。

楽しい気持ちにさせてくれるコーヒーです。

ちょうど4年前の2015年の10月にご紹介したタイのコーヒーもやはり酸味とフレーバーが大変ユニークでした。とても珍しいので、ぜひこの機に飲んでみてくださいね。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★★

コク ★★☆

焙煎 ★ ☆ ☆

タイ山岳ドイチャン村、丁寧に育てられた有機栽培コーヒー、爽やかなフレーバー


こんにちは。秋もだいぶ深まってきました。
今年は、例年より秋らしい日よりが多くあったような気がします。

西原珈琲店の世界のコーヒー10月の限定コーヒーは、

タイ山岳ドイチャン村、丁寧に育てられた有機栽培コーヒー、爽やかなフレーバーな、『タイ ドイチャン』になります。

タイドイチャン

タイのコーヒー、お客様は耳慣れないかと思います。

アジア地域では、インドネシアですと、当店でも通常メニューにもございますスマトラ島のマンデリンの他、今月のコーヒーではバリなどもご紹介したことがありますが、タイ珈琲はとても珍しいですね。

実は、タイにおけるコーヒーの栽培は1970年代から始まりました。

1983年にはタイの王室プロジェクトが立ち上がり、コーヒーの苗の配布が行われるようになり、

現在では山岳部で年間生産量が2000tにまで拡大しています。


コーヒーの名前にもある「ドイチャン村」は、タイ北部のチェンライ県の山岳地帯にあり、

1920年頃より少数の山岳民族が定住した最も古い村の一つで、【ドイ=山、チャン=象】という意味を成します。

この地域は、標高、平均雨量、そしてコーヒー栽培にとって欠かせない気温の寒暖差と、コーヒー栽培において大変恵まれた環境にあります。

コーヒーの木は山岳の強い日差しを避ける為にシェードツリーのある北面の斜面に植えられています。

化学肥料など一切使用しない有機栽培方式で、村人たちの手で、ていねいにつくられたコーヒーです。

タイドイチャン

香りは、まるで香草のような爽やさと独特のフレーバーがあります。

口に含むとまずは酸味がビビッドに広がります。爽やかな香りと相まって、舌の上で踊ります。

苦みやコクは控えめ、独特なフレーバーと軽やかな風味で、「ドイチャン=山の象」が目に浮かぶような、

何かうきうきするような楽しい気持ちにさせてくれるコーヒーです。

10月限定となっております。是非この機会にご賞味ください。

 

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★★

コク ★☆☆