ハイチコーヒー~カリブの潮風が運んできた初夏

6月のコーヒーのご紹介です。

「ハイチ ブルーパインフォレスト」です。

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カリブ海に浮かぶ、イスパニョーラ島。

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同じカリブ海のジャマイカやキューバと並び、ここイスパニョーラ島のハイチのコーヒーも世界的に評価されている産地の一つです。

ハイチとは、カリブ海の言葉で「山脈の島」という意味です。その名の通り、島全体が峻険な山岳地帯となっており急峻な地形と、カリブ海から吹く風が織りなす気象環境が香り高いハイチのコーヒーを生み出しています。

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「ブルーパインフォレスト」コーヒーは松の木が覆うハイチ最大の森林地帯のすその、カリブ海からの風を受ける標高800~1000mで栽培されたコーヒーです。

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さて、その味は、

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香りはやさしく、ほんのりとアーモンドの香り。

その味は軽やかなですが、バランスよくコクもあります。

舌からのどまでさわやかな酸味が抜けていくのが心地良い。

吹き抜けるカリブの潮風に思いをはせながら、

初夏の季節にぴったりのストレートです。

 

—-風味バランス—-

苦味 ☆☆☆

酸味 ★★☆

コク ★☆☆

 

ミャンマー新時代と自由の味のするコーヒー

5月のコーヒーのご紹介です。

「ミャンマー アラビカ SEIZAN」です。

ミャンマー連邦共和国は東南アジアのインドシナ半島西部に位置しています。

ミャンマーでは長年軍事政権の支配下にあり、言論の自由はなく、出版物は政府が検閲されていました。政権に反対する人たちは投獄される一方、経済面では周辺最貧国となっていました。

2015年、半世紀にわたる軍事政権に終止符が打たれ、ミャンマー民主化のシンボルであり、長年政権より自宅軟禁とされていたアウンサンスーチーをトップとする民主政権時代が幕開けしました。

これをきっかけに諸外国からの投資も活発になり、日本でも政府を中心にミャンマーと日本間での経済活動セミナーなども多数開催されています。

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ミャンマーは、コーヒーの産地としては今まであまり馴染みがありませんでしたが、実はここ1年程で急速に品質が向上し、新たなコーヒー生産地として、今世界中から注目されている産地です。

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世界的なカップテイスター達が、ミャンマーの中小規模コーヒー農家が生産する、コーヒーの品質向上を目指し、2014年から支援を開始しています。

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さて、その味は、

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写真でご覧いただける通りの浅煎り豆。

香りは柔らかく、心地よいです。

口に含むとしっかりとした酸味、ほんのり甘みもあらわれます。

そこはかとなくナッツを砕いた香りが漂います。

クリーンで雑味が少なく、若々しさ、上品さを感じられるコーヒーです。

 

 

—-風味バランス—-

苦味 ☆☆☆

酸味 ★★☆

コク ★☆☆

 

航海時代の伝説と黄金のモンスーンコーヒー

柔らかい春の風が本当に気持ち良いですね。

満開だった桜ははや葉桜に

街には新入生や新入社員の初々しい姿がちらほら

さて、4月のコーヒーのご紹介です。

「インド モンスーン マラバール」です。

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まだ帆船の時代、コーヒーをインドからヨーロッパまで輸送するのに半年以上もかかりました。

この長い航海中に船倉に保管された コーヒー豆は時間をかけてゆっくりと熟成され、不思議なことに黄金色に変わり、独特の香味を持つようになりました。

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他のコーヒーにはない、そのエキゾチックな風味は人々を魅了しました。

その後、帆船から蒸気船へと変わり、スエズ運河が開通すると、インドからヨーロッパまでの航海日数は大幅に短縮 されることになり、時代と共にこのコーヒーは姿を消しました。

しかし、人々はあの黄金色のコーヒーの独特の香味を 懐かしみ、インドのコーヒー生産者はこの熱望に応えるために、アラビア海から吹き付けるモンスーン(貿易風・季節風) を利用したモンスーンコーヒーの生産をアラビア海に面するマラバール海岸で始めました。

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インド南部中央に位置するマンガロール産アンウォッシュド・アラビカコーヒーをパーチメントの状態で、南西のアラビア 海岸部(マラバール海岸)に運びます。

風通しの良い倉庫で4~6インチの厚さに広げ、数日間乾燥させ幾度となく丁寧に かき混ぜ、その後袋に詰めて列に並べ寝かせます。

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モンスーンがコーヒー全体に均一に吹きあたるようにするために、 列と列の間は十分に広げ、袋の列を並び変えます。さらにコーヒーを袋から出しては詰め替える作業を繰り返します。

こうして手間暇をかけた作業を6~7週間も続けると、あの黄金色の姿と独特の持ち味を、当時のまま残した モンスーンコーヒーが出来上がります。

さて、その味は、

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今までに触れたことのない独特の香りに少し驚きました。

その味は苦味がまずしっかりと現れます。

だけど、全体にみずみずしさがあり、まるで煎ったお茶のような不思議な風味があります。

個性的な味で、とても面白いコーヒー体験ができますが、苦手な方もいらっしゃるかもしれません。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ☆☆☆

コク ★☆☆

 

ルワンダ、異国市場のアーモンドコーヒー

3月になって、早桜の花がちらほらと見えるようになり、

今年も春がやってきました。

4月は多くの方にとって会社や学校と新しい年度の始まりですね。

人との出会いや別れの季節ともいえます。

何より美しい桜に出会える季節でもあります。今年はどちらの桜名所に足を運ばれますか?

さて、3月のコーヒーのご紹介です。

「ルワンダ キブベルト」です。

アフリカの中央部、タンザニアの西にルワンダ共和国はあります。

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面積は四国程度の小さい国ですが、高い標高と、高品質なコーヒー 栽培に適した条件を備えている自然豊かな国です。 アフリカ大陸の中でも、近年注目されている生産国の一つです。

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キブベルト農園は2009年、ルワンダ西部のカロンギ地区で始まりました。

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さて、その味は、

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とても不思議な香りです。異国の市場に迷い込むと、見たこともない食材の香りが漂ってくる、、、そんな情景が浮かんできます。

鼻を近づけてみるとそこにはナッツの香りを見つけました。

口に含んだ途端、苦味をまとった酸味が飛び出し、舌をとらえて離しません。

飲みこんだ後にはアーモンドチョコのような風味がこだましました。

決して一番好きな味ではないけど、なんだか外国の初めての土地を旅をしているような気分にさせてくれるコーヒーでした。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★★

コク ★★☆

 

タンザニアの山々がかなでる重奏曲

2月になって、寒さをいっそう厳しくなるほど、春が待ち遠しいですね。

花粉症でしたら、マスクを外せないつらい時期の始まりでもあります。

管理人もその一人ですが、昨年から新たに予防治療を始めまして、今年の花粉症はその効き目がどうなのか、気になるところであります。

さて、2月のコーヒーのご紹介です。

「タンザニア カンジラルジ 農園AA」です。

タンザニアコーヒー豆

 

タンザニアのコーヒー生産地域にはキリマンジャロ、メルーの山麓に広がる北部地区、西側の国境付近の西部地区、マラウィとの国境付近の南部地区などがあります。

最も標高が高いのは、5895mのキリマンジャロ山で、自然保護地域が数多く存在しています。

タンザニアにおいて、コーヒー栽培は最も重要な作物の一つであり、 85%以上は小規模農家によって生産されています。

これまでは「キリマンジャロ」として有名なアラビカコーヒーは、北部 キリマンジャロ山麓で栽培が始まり、広がりましたが、現在はンベア地区など、南部地域に生産が拡大しております。

以前もキリマンジャロコーヒーオルデアニ地区のコーヒーをご紹介したことがあります。

近年、品質の向上が著しいタンザニア南部に位置する「カンジラルジ農園」のコーヒーです。 是非、一度お試し下さい。

さて、味は、

タンザニアコーヒー豆

カップに鼻を近づけた途端、香りが伸びやかに広がります。

口に含むと、豆の香ばしさがいっそうあふれ出します。

豆からこぼれる心地よい酸味が刺激しつつ、

飲むほどに豊かな香りが重奏曲のように心地よく重なります。

ストレートコーヒーが紡ぎだす究極のバランス、タンザニアの逸品を是非味わってください。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★☆☆

コク ★★★

 

ウガンダ、エルゴン山から届いたアラビカコーヒー

みなさま新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2017年は、どんな一年になるでしょうか。年々1年が過ぎゆくのが早く感じますが、

最近はこんなニュースを見かけました。

2019年に新天皇が即位し、新元号に代わるそうです。平成生まれが新世代と思っていたところが、再来年からはさらに新しい元号の世代が始まります。

管理人は昭和生まれですが、今でいう大正生まれのようなセピア色世代になってしまうのでしょうか。。。

とはいえ、昭和生まれの私たちは3つの元号を跨いで生きるという贅沢な世代なのかもしれません。

昭和生まれの西原珈琲店も時代を超えて皆様に変わらない価値を提供し続けていきたいと思う2017年の始まりです。

さて、新年最初の1月のコーヒーのご紹介です。

「ウガンダ COFFEE A CUP農協」です。

アフリカ大陸の真ん中から少し右に位置するウガンダコーヒー

今回ご案内する「COFFEE A CUP農協」は、

正式名称はこうなります。

community organized farms from elgon escarpment arabica coffee uganda program

~エルゴン山の急斜面にある共同生産者によるウガンダアラビカコーヒープログラム

ロブスタ種が主流のウガンダコーヒーですが、高地でのみ栽培が可能なアラビカ種を育てる農協です。

2007年、マウントエルゴン地区の一介のコーヒー生産者であった「マティアス・ナブトゥレ氏」が近隣農家と協力して地域発展・サステイナブルなコーヒー生産を目指して同プロジェクト名の農家団体を設立し、その2年後の2009年にはウガンダ政府より正式な農協組織として登録されました。

さて、その豆、味は、

深煎りの豆が焙煎後少し経って光沢を帯びる様が魅惑的です。

口に含んで現れるビタネス。

全体的にウェットな味わいですが、舌を心地よい苦味と酸味が刺激します。

 

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★☆☆

 

おしらせ

かーべハーネでは、しばらくお休みしていたパスタメニューが美味しくなって再開いたしました。是非、ランチ、お食事にお越しください。

キューバ、カストロ、コーヒー

あと少しで今年も終わりですね。忘年会や仕事納めと何かと忙しい12月ですね。

忙しい時はどうもせわしなく動いてしまうものですが、余裕がないせいか以外と大事なことを忘れてしまったりと、ほっと一息ゆっくりと整理してみると意外とものごとを効率的に進められたりもします。

2016年は、イギリスのEU離脱決定や、アメリカ大統領選のトランプ候補の勝利など、これからの世界を占う潮目となった年ではないでしょうか。

「グローバル」という価値観がもてはやされた時代から、自国の価値に良い意味でも悪い意味でも、注目が集まる時代と言えましょうか。

日本もまた、オリンピックを3年後に控え、経済だけでなく、食、アートなど文化面も独自の価値にスポットライトがあたるような流れが増えていくかもしれませんね。

そういえば、今年の映画は「シン・ゴジラ」、「君の名は」といった邦画が記録的なヒットを記録しましたね。

そんなこんなを巡らせるひとときを、おいしいコーヒーと一緒にいかがでしょう。

12月のコーヒーのご紹介です。

12月は「キューバ TL」です。

コーヒー豆

キューバといえば、最近では、長らく独裁政権のトップであったフィデル・カストロ議長が亡くなったことが大きなニュースになりました。

その以前は、アメリカとの54年ぶりの国交正常化が実現したことが記憶に新しいです。

キューバのコーヒーについてはクリスタルマウンテンの記事でも紹介しました。

1959年のキューバ革命以降、コーヒー産業は国営となり、現在では国民に対して15日に2オンスが配給され、カフェラテやエスプレッソとして人々の楽しみとなっています。一方、高品質なコーヒーは日本をはじめとする輸出向けとなっています。

世界の先進国の関心が、国内に向く時代の中で、アメリカとの国交正常化、カストロ議長の死去という歴史的な潮目を迎えたキューバはどうなるのか、国営産業であるコーヒー産業の行方もとても気になるところです。

少し、固いお話になってしまいました。

さて、その味は、

コーヒー豆

なんとも不思議なコーヒーです。

酸味や苦味はほとんどなく、すっきりとまろやか。

みずみずしさを感じる爽やかな風味。

個性を極限まで抑え込んだ、沈黙の品を感じさせる味わいです。

皆様はこちらのコーヒーのお味、いかが感じられますでしょうか。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★☆☆

コク ★☆☆

 

おしらせ

かーべハーネでは、しばらくお休みしていたパスタメニューが美味しくなって再開いたしました。是非、ランチ、お食事にお越しください。

しわの刻まれたコーヒー、人生は深いからこそ旨い

11月になり、急に寒くなりましたね。

秋はそうそうに過ぎ去り、気づけばもう年末シーズンです。

外の寒さを忘れて、喫茶店で楽しむホットコーヒー、心も温まりますね。

さて、今月のコーヒーのご紹介です。

11月は「東ティモール COCAMAU(コカマウ共同組合)」です。

東ティモール COCAMAU 豆

東ティモールは以前、ちょうど2年前の11月にも紹介しました。東ティモールのコーヒー産業の経緯について触れています。

2002年、21世紀最初の独立国として新たな歩みを始めた、 東ティモール。経済基盤が弱く、コーヒーは唯一の農作物であり、 国民の4人に1人がコーヒー生産に携わっています。

コーヒチェリー

アイナロ県・マウベシ郡は標高が高く(1300~1500m)の山間部に位置し、日中の日差しに比べ、朝晩の冷え込みが厳しい地域です。年間降雨量も比較的多く、美味しいコーヒーが育つ条件に恵まれた地域です。

農民

302世帯の共同組合コカマウによるコーヒーは、収穫時に家族総出で収穫に繰り出し、真っ赤に熟した完熟チェリー のみを一粒ずつ丁寧に手摘みしています。乾燥は天日乾燥で行われるため、じっくりと太陽の恵みを浴びて乾燥されます。

天日干し

さて、その味は、

東ティモール COCAMAU 豆

豆は小さ目ですが、きゅっと引き締まっています。表面にこまかいしわがあるのが特徴です。どこか力強さを感じさせる豆です。

口に入れて、まず感じのるは酸味です。

その酸味には、蜜の甘みが伴っているのが特徴です。

そして、その後に広がるのは、沈みこむような苦味。

全体的に深さを感じる、独特な風味と香りを持つコーヒーです。

東ティモールのコーヒー農民達の家族の絆、そして厳しい労働で出来たしわが彼らの力強さをより引き立てる、そんなシーンをふと思い浮かべました。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★★

コク ★☆☆

メキシコ遥か山奥、長寿の木、先住民の手

気づけば夏も終わり、かしましい蝉の鳴声が、鈴虫の居心地よい音色に変わりましね。

日が落ちるのも早くなり、秋の夜長を感じさせる季節になってきました。

いかがお過ごしでしょう。

さて、今月のコーヒーのご紹介です。
コーヒー豆1

9月の世界の限定コーヒーは、メキシコです。

メキシコのコーヒー生産地で近年注目を浴びているソンゴリア地域のコーヒーです。

生産者

山奥の先住民が住むこのエリアでは、2013年からコーヒー輸出による生活向上のための品質改善プロジェクトに励んできました。

そして、去年初めて輸出した先が日本でした。実は、この地域の初めての外国人訪問者もまた日本人という縁ある地域といえます。

生産者2

プロセスは手動の簡易式パルパーとセメント発酵槽というシンプルな工程ですが、何十年もこの地で生き延びてきた長寿の木 から採れたコーヒーはひと味もふた味も違います。

メキシコの山奥で静かに育ったピュアなコーヒーです。

コーヒーチェリー

さて、その味は、

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写真をご覧の通り、豆の形はふっくらと丸く、

どれも柔和でふくよかな表情を見せています。

湯を注いだ瞬間から立ち込める香り。

豆の香ばしさいっぱいに、中から広がる花のフレーバー。

口に含むと、深いコク、苦味も酸味も控えめで、しっかりと豆本来の風味を楽しめます。

舌の上でころころと、転がしてみてください。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★☆☆

コク ★★★

渋い大人のパプアニューギニア

暑い残暑をいかがお過ごしでしょうか。

お盆を過ぎて、湿気も暑さも厳しい日が続きますね。

 

さて、今月のコーヒーを遅ればせながらご案内します。
パプアニューギニア豆

8月の世界の限定コーヒーは、パプアニューギニアです。

———珈琲豆いろは———

パプアニューギニアはニューギニア島の東半分と周辺のビスマーク諸島、ブーゲンビル島などから成る共和国で、日本の1.2倍の国土があります。また、本島の中央には4000メートル級の山脈が東西に連なりダイナミックな地形が特徴です。

気候は熱帯モンスーン気候で雨季11月から4月と乾期5月から10月に大別されます。平均気温は沿岸部で昼35度から夜24度、高地部では昼28度から夜14度です。

パプアニューギニアにコーヒーが導入されたのは1930年代。ジャマイカ・ケニア・タンザニア・などの原産地からもたらされ、本格的な栽培は1950年代にブルーマウンテンの種子が持ち込まれた頃から始まりました。

 

 

さて、その味は、

パプアニューギニア豆

若干の渋み・ビターさがありながらも、コクが深みを作り出します。

酸味もありますが、主張しすぎず心地よいです。

ショコラなどチョコレートの甘味をお供にされると楽しみやすいです。

 

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆