10月限定コーヒーはインドから「バドラエステート」です。
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インドのコーヒーをお届けするのは、実に3年ぶりです。前回ブルックリンと名付けられたコーヒーでした。
さて、インドには、私も過去に一度長旅で訪れたことがあります。20年近く前ですので、今は大きく変わっていることでしょうね。少し思い出してみます。
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ニューデリーの空港に降り立ち、一斉に取り囲んでくるタクシーの客引き、交通ルールを無視した荒い運転で、ホテルのある街中へすごいスピードで走り抜けていく、夕日に照らされた交差点に、急に現われたの牛、一度、牛を見たと思うと、道という道に、牛が寝そべったり、歩いたりと悠然としたその姿が至る所に立ち現る。
ブッダガヤという、ブッダ生誕の地と言われる宗教都市では、宿坊に泊まった。要は安宿である。その宿の前は、まさに原風景とはこのこと、といった野生の風景が広がっていて、草原と、湖、そして世界の果てまで繋がっているかのような空。
ある時、この草原の向こうには何があるだろうと、ただひたすらに歩いていくと、人の足跡で舗装された小道が見えた。小道を歩いた先には、小さな小屋が表れた。その周りを眺めていると、中から主人とおぼしき初老男性が出てきた。
手の合図で中へどうぞといっている。現地の言葉を喋っているので、分からないのだが、歓迎してくれている様子なのはわかった。中へ入ると、座ってくれと合図され、こんなところに急に現れた東洋の旅人が珍しかったようで、なんだかお菓子やチャイを出してくれた。
お礼を言って外へ出て、来た道を戻っていくと、湖の背景が、夕日で赤々と染まり、原風景が、今度は、まるで絵画のような劇的なものに変わっていた。
湖の間の盛り上がった場所があり、そこにも草原があった。目を凝らすと、その辺りに女性たちが、辺りに座って楽しくおしゃべりをしている。壮大な夕焼けが湖の表面を照らし、その灯の色に女性達のサリーも染まっている。夕方の井戸端会議かと微笑ましく見ていると、ふと隣に小さな子供が立っていて、訛りの強い英語で「トイレしてるんだよ」とたしなめてきた。そそくさとその場を離れた。
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南インドに位置するジリスと呼ばれるババ・ウ・ブタンの丘陵地。豊かで肥沃な農園の緑豊かな熱帯気候と、他に類を見ない高地のロケーションから生まれた風味をお楽しみいただけます。
インドは、年間を通じて気温が高く、はっきりと分かれた雨季と乾季があります。南部の大部分にはデカン高原といわれる台地が広がっており、コーヒー栽培は主にその南部高原地帯で盛んに行われています。
前回のインドコーヒー
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泰然とした木の香りが漂います。
その風味はコーヒー豆をそのままかじったかのような強い香ばしさを感じることができます。
まろやかな風味で、酸味や苦味も少なく、ヒノキの香りが伸びやかに広がり、まろやかなコクと香りの余韻を長く楽しむことができます。
とてもリラックスする味ですね。
—-風味バランス—-
苦味 ★☆☆
酸味 ★☆☆
コク ★★☆
甘味 ★☆☆
焙煎 ★★☆
フレーバー:ヒノキ、ナッツ