コスタリカコーヒー:自然と文化が育む一杯の魅力「ラ・リアピエサンホワイトハニー」〜2024年11月限定コーヒー

中央アメリカに位置し、小国ながらも自然保護とコーヒー文化で世界に知られるコスタリカ。その豊かな熱帯雨林と環境保護への意識、そしてコーヒーの一大産地としての存在感が魅力です。コスタリカの自然環境と保護活動、そしてコスタリカコーヒーの歴史、文化、主要な産地、特にタラスエリアのコーヒーとその精選プロセスであるホワイトハニープロセスについてご紹介します。

コスタリカの熱帯雨林と自然保護

 コスタリカは国土の約25%が国立公園や自然保護区に指定されている環境保護の先進国です。その小さな国土には、世界の生物多様性の約5%が集中しているとされ、ジャガーやピューマといった大型哺乳類から数え切れないほどの昆虫まで、多様な動植物が生息しています。特に、熱帯雨林は湿潤な気候と豊富な降水量を背景に、コスタリカの自然環境の象徴であり、地球規模の温暖化防止にも貢献しています。

1960年代から環境保護を国家方針として掲げ、1980年代には保護区や国立公園の設立を加速させました。さらに、再生可能エネルギーの普及にも積極的で、現在では国内エネルギーの多くを水力、地熱、風力で賄っています。環境保護と持続可能な発展を両立するコスタリカは、エコツーリズムでも注目され、観光業が国の経済を支えつつあります。こうした背景の中で、コスタリカ産コーヒーも持続可能な農業と地域経済の成長の一環として発展を続けています。

コスタリカのコーヒーの歴史

 コスタリカにコーヒーが初めて導入されたのは、18世紀末のことでした。その後、19世紀になると国を挙げてのコーヒー栽培が始まり、やがて国内外で高い評価を得るようになります。コーヒー産業はコスタリカの経済基盤を支え、特に19世紀後半には、コーヒーの輸出が国の主要な収入源となりました。コーヒーの栽培と輸出は、国のインフラ整備にも貢献し、教育や交通網の発展に寄与しました。

20世紀後半には、品質の向上と差別化を目指し、スペシャルティコーヒーの生産が盛んになりました。コスタリカは品質基準を厳しく守り、環境保護と高品質なコーヒーの生産を両立させています。この取り組みは、今日のコスタリカコーヒーが世界的な評価を得る背景となっており、コーヒー産業は今でもコスタリカの主要な輸出産業です。

コスタリカの主要コーヒー産地

 コスタリカには、いくつかのコーヒー産地があり、それぞれの地域が独自の風味や品質で知られています。主な産地としては、セントラルバレー、ウエストバレー、タラス、トゥリアルバ、オロシなどが挙げられます。これらの地域は、火山性の土壌と適度な標高、適した気候条件に恵まれており、高品質なコーヒー豆を栽培するのに理想的です。

各産地には特徴的な風味があり、たとえばセントラルバレーは豊かな酸味と甘みのバランスがよく、ウエストバレーは果実味が強くフルーティな風味が特徴です。コーヒー愛好家たちは、地域ごとに異なるコーヒーの味わいを楽しみ、その土地ならではのテロワールを感じ取ります。

タラスエリア:コスタリカ屈指のコーヒー産地

 コスタリカのコーヒー産地の中でも特に注目されるのが、今回のコーヒー産地であるタラスエリアです。タラスは、標高が1,200〜1,900メートルに達する高地で、火山性土壌と涼しい気候がコーヒー栽培に最適です。このエリアで生産されるコーヒーは、際立った酸味と甘み、そしてクリーミーな口当たりが特徴で、世界中のコーヒー愛好家から高い評価を得ています。

タラスのコーヒーは、特にそのバランスの取れたフレーバープロファイルが魅力です。シトラス系の酸味に加え、しっかりとしたボディと心地よい甘さが楽しめます。タラスエリアの農家は、高品質なコーヒー豆の生産に細心の注意を払い、収穫から精製、乾燥までのすべての工程を丁寧に行っています。このような農家の努力が、タラスコーヒーの品質の高さを支えているのです。

ホワイトハニープロセス:タラスの特別な精選方法

 コーヒーの精選プロセスにはさまざまな方法がありますが、コスタリカでは特に「ハニープロセス」が盛んに行われています。ハニープロセスとは、コーヒーチェリーの果肉を除去した後、ミューシレージと呼ばれる粘りのある層を一部残しつつ乾燥させる方法です。ハニープロセスには、ホワイトハニー、イエローハニー、レッドハニー、ブラックハニーといった種類があり、ミューシレージの残留量や乾燥方法によって風味が変わります。

中でも今回のコーヒーの精選プロセスのホワイトハニープロセスは、ミューシレージの残留量を最小限に抑えることで、爽やかでクリアな味わいを生み出す精選方法です。ホワイトハニープロセスを施したコーヒーは、酸味と甘みのバランスが取れ、軽やかなボディと上品な風味が楽しめます。タラスエリアでは、このホワイトハニープロセスが特に評価され、農家たちが細心の注意を払って行っています。タラスのホワイトハニーコーヒーは、コスタリカの自然と農家の情熱が詰まった一杯として、特に人気の高い商品です。

コスタリカコーヒーが世界で愛される理由

 コスタリカのコーヒーは、単にその品質が高いだけでなく、環境保護や持続可能な生産への取り組みも評価されています。コスタリカ政府は、コーヒー栽培においても環境への配慮を徹底し、農薬や化学肥料の使用を最小限に抑えるための支援を行っています。さらに、農家が経済的に安定した生活を送れるよう、フェアトレードやオーガニック認証を推進する取り組みも続けられています。

コスタリカのコーヒーは、その風味の魅力だけでなく、こうした環境保護と地域コミュニティの発展に寄与している点でも、多くの人々から支持されています。コスタリカの一杯のコーヒーには、自然と共存する暮らしと、それを支える人々の情熱が込められているのです。

コスタリカの自然と文化を味わう一杯

 コスタリカのコーヒーは、その豊かな自然環境と環境保護への取り組みの中で育まれています。特にタラスエリアのホワイトハニープロセスを施したコーヒーは、コスタリカのコーヒー文化と農家の努力が詰まった特別な一杯です。とりわけ、タラスエリアのホワイトハニープロセスで作られたコーヒーは、コスタリカの自然と共に育まれた特別な一杯です。豊かな酸味と程よい甘み、軽やかなボディが特徴で、他のコーヒーとは一線を画するクリアな味わいが広がります。この一杯を通して、コスタリカの環境と文化を体験できるとも言えるでしょう。

コスタリカのコーヒーは、その質の高さと独自性により、単なる嗜好品を超えて、世界中のコーヒー愛好家から「特別な体験」として受け入れられています。多くのバリスタがこの地域の豆を使ったレシピを研究し、その風味を最大限に引き出す方法を探求するなど、コスタリカのコーヒーは国際的なコーヒー業界でも重要な位置を占めています。

コスタリカのコーヒー文化の未来

 コスタリカでは今後も、伝統的なコーヒー栽培と新しい生産技術が融合し、さらなる発展が期待されています。コスタリカの若い世代もまた、コーヒー産業に対して深い誇りと愛情を持ち、革新的なアイデアでコーヒー栽培を続けています。サステナビリティの観点からも、無農薬栽培や再生可能エネルギーの利用など、環境に配慮した生産が進んでいます。

また、コスタリカではエコツーリズムの一環として、コーヒー農園を訪れる「コーヒーツアー」も人気を集めています。コーヒーの木々に囲まれた美しい農園で、収穫から焙煎、カッピング(テイスティング)までの工程を体験できるこのツアーは、訪れる人々にとって一生の思い出となります。訪問者はコーヒーがどのように育ち、精製され、カップに注がれるまでのすべての過程を知ることで、自然とコーヒー生産者への感謝の気持ちを抱くのです。

コスタリカのコーヒーは、自然環境への敬意と、地域の農家の情熱が込められた「サステナブルな一杯」です。熱帯雨林と豊かな生態系を守りながら高品質なコーヒーを生み出すコスタリカは、環境保護と経済発展の両立を成し遂げるモデル国と言えるでしょう。次にコスタリカ産のコーヒーを味わうときには、ただの一杯としてではなく、コスタリカの美しい自然と、その一杯に込められた努力や物語を思い浮かべてみてください。きっと、新たな視点でそのコーヒーの魅力を感じられるはずです。

味について

 香り高さが豆から溢れています。コクがしっかりと、舌で風味をたっぷり感じることができます。鮮やかに立ち上がる酸味と、えぐみのない苦味、上質なコーヒー、余韻にはスモークが漂います。パッションフルーツをかじったようなジューシーなフルーツ感も楽しめます。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★★☆

コク ★★★

甘味 ★★★

焙煎 ★★☆  

フレーバー:パッションフルーツ、アールグレイ、炭、カカオ、青草

農園データ

生産国コスタリカ
標高1820〜1950
品種カトゥアイ
精選ハニープロセス・ホワイトハニー

コスタリカ 海の味のする珈琲 ピランゴスタ農協〜2021年8月限定コーヒー

8月限定コーヒーはコスタリカから「ピランゴスタ農協」です。

マリンサウナ

そう呼ばれる乾燥工程で精選された非常に珍しいコーヒーです。

コーヒーの実を摘んで、果実や皮部分を落として、豆にする精選工程には、

ナチュラル(天日)

ウォッシュド(水)

などが主流です。

マリンサウナはその名の通り

収穫後のコーヒーチェリーを、ビーチへ運び、海辺で寝かします。

海風のマイナスイオンや、塩分・ミネラルを含んだ湿った空気でヒーティングすることによって、コーヒーチェリーの成分の分解を促進します。

2、3日マリンサウナを経て、アフリカンベッド(日陰干し)に移動して、じっくりと乾燥させて仕上げます。

前回のコスタリカコーヒー

スモーキー燻る 大人びた雰囲気の中 

とろりと甘い蜂蜜 青いレモンがしびらせる

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★★

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★☆  

フレーバー:レモン 蜂蜜 青草 炭

コスタリカ 蜂蜜の罠にかかって


6月のコーヒーは「コスタリカ ハニープロセス」です。

コスタリカ、トレリオス地域の小農家から届きました。

コスタリカではコーヒーチェリーの果肉と粘液を完全に水洗いで落とした状態で、

乾燥させてコーヒー豆とするフルウォッシュド方式が主流ですが、

こちらのコーヒー豆は、ハニープロセスという、

果肉を取り除いた後、果実内の粘液が残った状態で乾燥させる方式で作られています。

この粘液はミューシレージと言い、その感触が蜂蜜と似ていることから、

ハニーとも呼ばれます。

ミューシレージには、糖分と酸味を含有しており、これを洗い流さずに乾燥させることで、コーヒー豆にこの成分が染み込むと言われています。

前回のコスタリカ記事はこちら

さて、飲んでみましょう。

カップに近づくと甘いフローラルが伸びやかに鼻を抜けていきます。

雨あがりの森の朝に迷い込んだような木々の香りが穏やかに漂います。

魅惑的な香りにとらわれたまま一口含むと、

強い花の蜜がわっと広がり思わず目を開きます。

蜜の芯にあった若々しい酸味が舌をからめとります。

その後にはなんともやさしい苦味がじんと余韻を残します。

甘み、酸味、苦味、そしてコク、それぞれの個性が際立ちながらも、

まるでそれぞれの役者が呼応しながら順になって芝居をするようなバランスにまさに心を奪われるコーヒーです。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

焙煎 ★★☆

コスタリカ深煎り豆、広がる香ばしさ


5月の限定コーヒーのお知らせです。

とはいえ、既に21日、遅くなってしまい申し訳ございません。記事を書く時期にちょうど季節の変わり目の風邪を引いてしまいました。

皆様もこの時期の風邪にはくれぐれもお気を付けください。

さて、今月の限定コーヒーは、

コスタリカからのコーヒー
「コスタリカ トリアルバ アキアレス」です。

コスタリカ

コーヒーの名前の由来である「トリアルバアキアレス」、首都サンホセから南東に1.5時間の場所に位置するコスタリカ最大の農園です。

農園

農園は熱帯雨林に覆われ、農園内には湧水、水路があり、コーヒーの木々に潤沢な水を提供しています。

農園2

さて、その味は、

コスタリカ

まろやかな風味の中に、豆がしっかりと香ります。

焙煎は少し深めで苦味もじんわりと広がります。

口の中で直接豆をかじったような魅惑の香ばしさを楽しめるコーヒーです。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★☆☆

コク ★★☆

 

ちなみに私もコスタリカのあるコーヒー農園に訪れたことがあります。

コスタリカは自然豊かで観光資源を大切にするとても素敵な国です。

熱帯森林、ジャングルなどをめぐるツアーも充実しています。機会があれば是非旅行してみてはいかがでしょう。

暖冬、柑橘のアロマ コスタリカ セントタラスコーヒー


明けましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

今年の正月は本当に暖かく、外にて、ふとコートを腕にかけて、という瞬間もちらほらありました。名古屋では雪の1月も珍しくないですが、そんな気配はありませんでした。

さて、本年最初の限定コーヒー、1月の限定コーヒーは、

コスタリカ共和国 「セントタラスSHB」です。

コーヒー豆

高地だけで栽培される「タラス」のコーヒーは『酸味が豊かで上品、コクがあり特に良い香りがある』と言われ、世界中で高く評価されています。

農園写真

セントタラス SHBについて

グティエレスファミリーとその友人たちの農園(約100ヘクタール)で一粒ずつ丁寧に収穫されたコーヒーチェリーは、自社工場(モンターニャス・デル・ディアマンテ)に運ばれ、一貫して生豆まで仕上げています。

コーヒー豆

香りは柑橘のアロマが伸びやかに広がります。

他にはない、とてもユニークな味わいを楽しめます。

口に含むとまずレモンとオレンジの間くらいのシトラスの酸味が広がります。

酸味の合間に感じる甘みがまろやかさを生んでいて、

柑橘のような、絶妙な、心地よい酸っぱさが楽しめます。

是非、この酸味を味わってください。

—-風味バランス—-

苦味 ★☆☆

酸味 ★★★

コク ★★☆

 

なお、以前に書いた管理人のコスタリカちょこっと旅行記もよろければ。

『コスタリカ エルバス ブラック・ハニー』西原珈琲店3月の限定コーヒー


西原珈琲店の世界のコーヒー3月の限定コーヒーは、

『コスタリカ エルバス ブラック・ハニー』です。

中米コスタリカからのコーヒーです。

コスタリカ豆写真2

さて、豆を見てみましょう。

コスタリカ豆写真1
豆の大きさは小さ目で、おしりのふっくらとした形をしています。

 

口に含むと、どきっとするような酸味がはじけます。

酸味と一緒にさわやかな香りが鼻を抜けていきます。

 

この酸味をより、楽しんでいただくうえで、

少し重ための甘さをもったスイーツと合わせて頂くと、

甘さとさわやかな酸味がバランスよくお楽しみいただけます。

 

 

本山本店では、こちらのコスタリカに合わせて、新作ケーキをご用意しました。

苺のロールケーキ

旬な苺と濃厚クリームを使った『苺のロールケーキ』です。

 

珈琲の酸味とフレッシュな苺の酸味が丁度バランスよく、

濃厚なクリームと柔らかなスポンジがぴったりです。

 

是非、コスタリカコーヒーのお供にご賞味ください。

 

本山本店の早咲き桜です。

早咲き桜

世界のコーヒー6月限定『コスタリカ ドニャ・ハエル ハニー』


西原珈琲店の世界のコーヒー6月の限定コーヒーは、

『コスタリカ ドニャ・ハエル ハニー』です。

中米コスタリカからのコーヒー豆です。

コスタリカ豆1

まずは豆を見てみましょう。

まるまるとふっくらした身の大きな形。

コスタリカ豆2

香りはとても柔らかくやさしい、

口に含むと、一気にベリー果肉の甘みが広がります。

中心には、若々しい酸味がきゅっと引き締まっています。

後味はさわやかでほんのりとスモーキーさがただよいます。

名前に「ハニー」とあるとおり、舌で転がしたくなる上品な甘みを楽しめる逸品です。

コスタリカからの珈琲豆、是非ご賞味下さい。

———珈琲豆いろは———

コスタリカの最高のコーヒー産地の一つ、タラスエリアにある、

「アグリビッド・コーヒー精製場(ウェットミル)。

このミルは、家族経営の14農園のみで形成されており、

このような精製場はマイクロ・ミルと呼ばれています。

規模は小さいのですが、農園から近く、またきめ細やかな水洗処理や選別、

乾燥が行われることで、そのエリアの土壌や気候が育むことで生まれる

特徴的な風味が発揮されるコーヒーが生産されています。

 

———<おまけ>管理人の旅行記———

管理人はコスタリカを1週間旅行したことがあります。

コスタリカは憲法において環境保障をうたっており、国土の約4分の1が国立公園・自然保護区となっています。

熱帯雨林やそこに生きる貴重な動植物を観光資源としても公開することで、周辺国の中でも経済的にも大きく成長しています。

あの「ジュラシックパーク」もコスタリカにて撮影されたそうです。

管理人も様々な場所を巡りました。その中でも国の東側、つまりカリブ海側をボートで巡るツアーが印象的でした。

国中心に位置するサンホセから、カリブ側に近づくにつれ、段々と日差しが

強く、気温も暑くなっていくのを感じました。

カリブ側に着くと、肌にまとまりつくような強い湿気に「ああ、ここがあのカリブか」と妙に納得したのを感じました。

車で東西を一日で行き来出来るような国土でこんなにも環境が変わるのかととても驚いたのを覚えています。

さて、コスタリカのあるコーヒー農園を訪れた際の写真も一つご紹介します。こちらで頂いたコーヒーの味は今も忘れません。

コスタリカコーヒー農園