カリブのアルプス、原初の火の記憶:ドミニカ・ハラバコアと「冬の焚き火」 2025年12月限定コーヒー 「ドミニカ バラバコア」(コーヒートラベラーNの手記11)

師走の夜、帰る場所

日本の12月、寒さが骨身に染みる夜。Nは部屋に戻り、静かに湯を沸かした。

街は華やかなイルミネーションに浮かれているが、Nが求めているのはそんな明るさではない。もっと根源的で、静かな熱だ。

封を開けると、深く香ばしい「薪」のような薫りがふわりと立ち上がった。

それは、どこか懐かしい、山小屋の暖炉や静かな夜の焚き火を思わせる香りだ。その煙の向こう側に、Nはふと、遠い南の島の霧深い山影を見た。カリブ海に浮かぶドミニカ共和国、ハラバコア。「常春の街」と呼ばれるその場所の景色だ。


1. 霧の路地と「グレカ」の音

ドミニカの朝は、白い霧と共に明ける。

Nは、ハラバコアの石畳の坂道をゆっくりと歩いていた。標高1,000メートルを超えるこの地の空気は、カリブの海風とは違う。ひんやりと湿り気を帯び、苔むした森と濡れた土の匂いが混ざり合っている。

霧の向こうから、ピンクやターコイズブルーに塗られた家々の壁がぼんやりと浮かび上がる。早朝の静けさを破るのは、路地のあちこちから聞こえる生活の音だ。

「コポコポ、シューッ」

それは、この国のどの家庭にもある直火式メーカー、「グレカ(Greca)」が沸き立つ音だ。窓からは、焦がした砂糖と濃厚なコーヒーの香りが漂ってくる。

道ゆく人々が「カフェシート(コーヒーはいかが)?」と笑いかける。彼らが手にするデミタスカップの中身は、驚くほど濃く、漆黒だ。

冷涼な風が吹き抜けるこの「カリブのアルプス」で、人々はこの熱い液体をガソリンのように体に流し込み、一日の熱を作る。

Nが手にしたこの豆は、そんな彼らの飾らない日常と、生きるための熱源の記憶を宿した「選ばれし豆」なのだ。


2. 火山と水が育む「野生の青」

ハラバコアの農園は、整然としたプランテーションとは趣が異なる。

肥沃な火山性土壌の急斜面に、小規模な農家たちがへばりつくように木を植えている。豊かな雨と水資源を使った「水洗式(ウォッシュド)」で精製される豆は、雑味がなくクリーンだ。だが、それだけではない。

厳しい寒暖差の中で育った豆は、小粒ながら石のように硬く、成分が凝縮されている。そこには、洗練されすぎていない「野生の青味」が色濃く残る。

それは未熟さではない。深い森の草いきれや、湿った土の匂い、あるいはハーブのような鋭さだ。Nはこの「青味」に、美しく整えられた庭園ではなく、鬱蒼とした原生林の息吹を感じていた。

この力強い豆を、どう味わうべきか。その答えは、現地の「グレカ」のように、力強くあるべきだった。


3. 炭火が呼び覚ます「薪」の味

硬く引き締まったハラバコアの豆。そのポテンシャルを解放したのは、「炭火」による深煎りだった。

ガス火の熱風では届かない豆の芯まで、炭火が貫通する。

ハラバコアが持つ「野生の青味」は、炭の熱と混じり合って、香ばしい「ナッツ」や、乾燥した「薪」の香りへと昇華した。

それは、ドミニカの人々が愛する濃厚なコクへのリスペクトであり、日本の冬に合わせた解釈だ。「栗のような甘み」という表現すら超えて、もっと根源的な、「焦がした木の実」のような深い味わいが顔を出す。


4. エンシエントな焚き火

Nは、丁寧にドリップした漆黒の液体を口に運んだ。

瞬間、口の中にブワッと広がる重厚な苦味。

「苦い」。だが、それは舌を刺す不快な苦味ではない。

口の中に煙があるような、スモーキーなリッチさ。

目を閉じると、パチパチと薪が弾ける音が聞こえてくるようだ。焚き火の前で、ただ炎を見つめていたあの夜。現代社会のノイズが消え、ただ火と自分だけが存在する深い安らぎ。

喉を通った後に残るのは、ほのかな「青味」のある余韻。

それは、すべてが焼き尽くされた後の静寂の中に、ふとハラバコアの森の風が吹き抜けたような感覚だ。

まるで焚き火の煙の香ばしさを、そのまま液体にして楽しんでいるかのような、深く落ち着いた味わい。


5. 静寂を飲む

Nはカップを置き、長く息を吐いた。

華やかな酸味や、わかりやすい甘さを求めるトレンドとは真逆を行く、媚びない一杯。けれど、この12月の寒さには、この無骨な温かさが何よりも心地よい。

焚き火で薪が弾ける前で、コーヒーをゆるりと味わう。

そんな贅沢な時間を、この一杯が連れてきてくれる。

旅人Nは思う。今年の冬は、この煙の匂いと共に、静かに一年を振り返ろうと。


この物語を、あなたのカップで。

西原珈琲店にて、12月限定の「ドミニカ ハラバコア 〜炭火深煎り〜」をぜひお楽しみください。

口いっぱいに広がる香ばしさと、野性味あふれる余韻は、寒い冬の夜、あなたを静かな焚き火のそばへと誘います。


商品データと風味

項目詳細
生産国ドミニカ共和国(ハラバコア地区)
エリア中央山脈 “カリブのアルプス”
標高800m ~ 1,500m
精選ウォッシュド(水洗式)
焙煎炭火焙煎(深煎り)

風味バランス

苦味酸味コク甘味焙煎
★★★★☆☆★★★★☆☆★★★

フレーバーノート: 薪、炭、ローストナッツ、野生の青味、リッチな苦味

ウガンダ、エルゴン山から届いたアラビカコーヒー


みなさま新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2017年は、どんな一年になるでしょうか。年々1年が過ぎゆくのが早く感じますが、

最近はこんなニュースを見かけました。

2019年に新天皇が即位し、新元号に代わるそうです。平成生まれが新世代と思っていたところが、再来年からはさらに新しい元号の世代が始まります。

管理人は昭和生まれですが、今でいう大正生まれのようなセピア色世代になってしまうのでしょうか。。。

とはいえ、昭和生まれの私たちは3つの元号を跨いで生きるという贅沢な世代なのかもしれません。

昭和生まれの西原珈琲店も時代を超えて皆様に変わらない価値を提供し続けていきたいと思う2017年の始まりです。

さて、新年最初の1月のコーヒーのご紹介です。

「ウガンダ COFFEE A CUP農協」です。

アフリカ大陸の真ん中から少し右に位置するウガンダコーヒー

今回ご案内する「COFFEE A CUP農協」は、

正式名称はこうなります。

community organized farms from elgon escarpment arabica coffee uganda program

~エルゴン山の急斜面にある共同生産者によるウガンダアラビカコーヒープログラム

ロブスタ種が主流のウガンダコーヒーですが、高地でのみ栽培が可能なアラビカ種を育てる農協です。

2007年、マウントエルゴン地区の一介のコーヒー生産者であった「マティアス・ナブトゥレ氏」が近隣農家と協力して地域発展・サステイナブルなコーヒー生産を目指して同プロジェクト名の農家団体を設立し、その2年後の2009年にはウガンダ政府より正式な農協組織として登録されました。

さて、その豆、味は、

深煎りの豆が焙煎後少し経って光沢を帯びる様が魅惑的です。

口に含んで現れるビタネス。

全体的にウェットな味わいですが、舌を心地よい苦味と酸味が刺激します。

 

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★☆☆

 

おしらせ

かーべハーネでは、しばらくお休みしていたパスタメニューが美味しくなって再開いたしました。是非、ランチ、お食事にお越しください。

コスタリカ深煎り豆、広がる香ばしさ


5月の限定コーヒーのお知らせです。

とはいえ、既に21日、遅くなってしまい申し訳ございません。記事を書く時期にちょうど季節の変わり目の風邪を引いてしまいました。

皆様もこの時期の風邪にはくれぐれもお気を付けください。

さて、今月の限定コーヒーは、

コスタリカからのコーヒー
「コスタリカ トリアルバ アキアレス」です。

コスタリカ

コーヒーの名前の由来である「トリアルバアキアレス」、首都サンホセから南東に1.5時間の場所に位置するコスタリカ最大の農園です。

農園

農園は熱帯雨林に覆われ、農園内には湧水、水路があり、コーヒーの木々に潤沢な水を提供しています。

農園2

さて、その味は、

コスタリカ

まろやかな風味の中に、豆がしっかりと香ります。

焙煎は少し深めで苦味もじんわりと広がります。

口の中で直接豆をかじったような魅惑の香ばしさを楽しめるコーヒーです。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★☆☆

コク ★★☆

 

ちなみに私もコスタリカのあるコーヒー農園に訪れたことがあります。

コスタリカは自然豊かで観光資源を大切にするとても素敵な国です。

熱帯森林、ジャングルなどをめぐるツアーも充実しています。機会があれば是非旅行してみてはいかがでしょう。