カブリエルとティピカの苗
彼の名はガブリエル・ド・クリュー
ガブリエルは大西洋の上を何日も彷徨っていた。
目的地はカリブ海に浮かぶ美しい島、マルティニーク島、
カブリエルは、そこにコーヒーの苗を持ち込むため航海を続けていた。
ベタ凪が何日も続き、ガブリエルの船は大海原に漂流していた。
食料や水もだんだん底を着き始め、せっかく持ち込んだコーヒーの苗も、一つ二つと萎れていき、生きているのは、後一つとなってしまった。
ガブリエルの自身の飲み水も僅かとなり、もはや絶望だけが残っていました。
これまでと思うと、視界に入ったコーヒーの最後の苗木、最後の飲み水の一滴を、ふと、その最後その苗に与えました。
すると、今までの凪が嘘のように風が吹き始め、帆が勢いよく膨らみ、進み始めました。
そして、ガブリエルの視界には、マルティニーク島が現れたのです。
最後の1本のコーヒーの苗とともに上陸しました。そのコーヒーの種はティピカ。さらにこの数年後の1735年、ティピカはドミニカに持ち込まれました。
コロンブスのイスパニョーラ島
美しい景色を誇るカリブ海の産地、ドミニカ共和国。コロンブスが新世界の発見後、最初の町を建設したイスパニョーラ島。
イスパニョーラ島東部に位置する共和制国家です。小アンティル諸島のドミニカ島にあるドミニカ国と区別するため「共和国」をつけて呼ばれています。
ドミニカでは「野球」が有名です。数多くの野球場があり、プロ野球も6チームあります。
大リーグの有名選手で通算609本塁打のサミー・ソーサは、ドミニカ出身であり英雄です。現在も、大リーガーのおよそ10%がドミニカ出身のようです。
バオルコ山脈が生み出すアロマ
ドミニカ南西部に位置するバラオナ地方のバオルコ山脈は、石灰岩質の地盤を腐葉土が覆った土壌。山の斜面が雲で覆われることにより年間を通じて、まんべんなく雨を降らせます。
この雲が強い日差しからコーヒーの木を守り、表土に湿りを与え、コーヒーの木は育ちます。カリブ独特の軽い口当たりと柔らかな酸味と甘み、果実感のある香ばしいアロマが特徴です。
農家の小農園で、ほぼ野生(シルベストレ)に近い状態ながらも上質なコーヒーを生産しています。
ハニーナチュラルの熟成
コーヒーチェリーが完熟した豆を手摘みし、ミューシレージ(粘液質)残して天日乾燥させるハニープロセス(ワイニープロセス)でコーヒー豆になります。
コーヒーチェリーの精選処理ではウォッシュドというチェリーを水洗いして、果肉を除去した状態で乾燥させる方式が主流となっていますが、
この際に、ミューシレージと呼ばれる豆を覆う粘液質部分だけ、残した上で、乾燥させる方式をハニー・ワイニープロセス(パルプドナチュラル)という方法があります。
ハニーやワイニー呼ばれるのは、粘液質の果実の甘みが、豆に浸透することで蜂蜜の風味や熟成したワインのような甘味が出るためと言われています。
熟成された甘味 ラズベリー&チョコレート
強いラズベリーと、オレンジの甘い香りが鼻を突き抜けていきます。
余韻にはチョコレート。
しっかりとコクが感じられ、酸味や苦みはほとんどありません。
甘ったるさは決してなく、単一ティピカらしく雑味なく、すっきりと。
ハニープロセスでチェリーの甘みが沁み込み、ベリー&チョコの甘味の余韻がとても長く感じられます。
苦味 ★☆☆
酸味 ★☆☆
コク ★★★
甘味 ★★★
フレーバー:ラズベリー、オレンジ、カカオ
農園データ
生産国 | ドミニカ |
生産地域 | バラオナ州 バオルコ山脈 |
品種 | 品種ティピカ |
標高 | 800〜1,500m |
精製 | パルプドナチュラル |