コーヒートラベラーNの手記:「タンザニア・エーデルワイス AA〜2025年2月限定コーヒー

プロローグ:赤土の道とコーヒーの香り

旅を始めた理由を、Nは覚えていない。

ただ、気がつけばコーヒーの香りを追いかけていた。
それは、ある時は霧の立ち込めるエチオピアの山奥で、またある時はカリブの潮風を浴びるジャマイカの農園で。

「コーヒーには、時間と土地の記憶が詰まっている。」

どこかで聞いた言葉を思い出しながら、Nはタンザニアの赤土を踏みしめる。目的地は、北部オルデアニ地区のエーデルワイス農園。標高1,800mを超える火山性土壌の上に広がる、秘境のような場所だ。

しかし、そこに辿り着くまでに、Nはひとつの問いを抱えていた。

「タンザニアのコーヒーは、なぜ特別なのか?」

それを知るため、彼はキリマンジャロ山麓へと向かった。


キリマンジャロの麓で出会った「タンザニアコーヒー」の真髄

「君は、キリマンジャロのコーヒーを知っているか?」

モシの街の小さなカフェで、年老いたコーヒー農家が話しかけてきた。

「世界には多くのコーヒーがあるが、タンザニアには特別なものがある。その秘密は、この山が持つ“水”と“時間”だ。」

キリマンジャロ山の雪解け水は、この地域の土壌を潤し、ミネラルを豊富に含んだ土壌を形成している。そして、昼夜の寒暖差が大きいため、コーヒーチェリーはゆっくりと熟し、酸味と甘みのバランスを極限まで高める

Nが注文した一杯は、驚くほどフルーティーだった。

「これがキリマンジャロのコーヒーか…。」

柑橘のような明るい酸味と、ふくよかな甘み。まるで完熟したオレンジの果実をかじったかのような、みずみずしい味わいだった。

「でも、それだけじゃない。タンザニアには、もっと深みのある味が存在する。」

Nは、さらなる旅へと足を進めた。


エーデルワイス農園の発見:「ケント」と「ブルーマウンテン」の出会い

オルデアニの丘を越え、Nが辿り着いたのはエーデルワイス農園だった。

「ここでは、どんな品種が育てられている?」

農園主は、誇らしげに答えた。

「ケントと、ブルーマウンテン。どちらも、この土地に根付いた特別な品種だ。」

ケント種:タンザニアの伝統と強さ

ケント種は、もともとインドで生まれた品種だった。病害に強く、標高の高い場所でよく育つ。そして何より、しっかりとしたコクと深い甘みを持つのが特徴だ。

「ケント種は、まるで大地の記憶を閉じ込めたような味だよ。」

Nが試したケントのコーヒーは、カカオのような深いコクと黒糖の甘みが際立ち、苦味の輪郭がはっきりと感じられた。

ブルーマウンテン種:滑らかで優雅な味わい

「でも、ブルーマウンテン種は、まるで違う。」

農園主が見せたもう一つのカップには、まろやかでシルキーな口当たりのコーヒーが注がれていた。

ジャマイカのブルーマウンテン地方で生まれたこの品種は、優雅な香りとバランスの取れた風味を持ち、どんな焙煎度でも美しく映える。エーデルワイス農園のブルーマウンテン種は、焙煎が深めでも酸味が残り、苦味と甘みが調和していた。

「この二つの品種が合わさることで、この土地のコーヒーは唯一無二のものになっている。」

Nは、その味わいの奥深さに息を呑んだ。


エーデルワイスAA:タンザニアの“特別な豆”

「そして、最後にこれを見てくれ。」

農園主が手渡したのは、大粒のコーヒー豆だった。

「これはAAグレードの豆。タンザニアでは、コーヒーの等級は豆の大きさで決まるんだ。」

AAグレードとは、スクリーンサイズ17以上の特に大きな豆に与えられる最高等級。大粒の豆ほど、均一な焙煎が可能になり、豊かな香りと甘みを存分に引き出せる。

Nはその豆を手のひらで転がしながら、静かに思った。

「この豆の中には、この土地の時間と誇りが詰まっている。」


エピローグ:旅の続きは、あなたの手で

「コーヒーとは、土地の記憶そのものだ。」

Nは、そう記した後、手帳を閉じた。

このコーヒーが育まれた土地の物語を、あなたのカップで感じてみませんか?


店舗で味わう、またはお家で旅する

西原珈琲店では、今月限定で「タンザニア・エーデルワイス AA」を2025年2月限定メニューとしてご提供します。

☕ 店舗提供メニュー

  • エーデルワイスAAのハンドドリップ(シングルオリジン)
  • 西原プリンとエーデルワイスAAのペアリングセット(おすすめ!)

🍂 コーヒー豆販売

  • 豆のご購入は店頭にて

「旅の続きを、あなたのカップで。」

この物語について

本記事は、「タンザニア・エーデルワイス AA」の味わいと特徴から着想を得たフィクションです。タンザニアのコーヒー文化や歴史、エーデルワイス農園の背景をもとに、読者が物語を追体験しながらコーヒーを楽しめるように構成しました。

—-風味バランス—-

苦味 ★★★

酸味 ★☆☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★★  

フレーバー:カカオ、黒糖、ベリー

農園データ

生産国タンザニア
標高1650〜1820
品種ブルボン、ケント、ブルーマウンテン
精選ウォッシュド