エルサルバドルの黄金地帯に位置するアグアカリエンテ農園:伝統と革新が生む上質なコーヒー〜2024年7月限定コーヒー

エルサルバドルとは?

 エルサルバドルは、中米七カ国の中で最も小さい国で、その面積は九州の約半分と同じくらいです。グアテマラとホンジュラスの間に位置し、火山や湖が点在しています。サトウキビやコーヒーなどの農業と輸出が主な産業となっています。

Googlemapより

「幸せと悲しみの果実」エルサルバドルコーヒーの歴史

 エルサルバドルコーヒーは、その複雑な味わいと豊かな歴史で知られるスペシャルティコーヒーです。しかし、その歴史は決して平坦なものではありませんでした。

19世紀前半にグアテマラから持ち込まれたコーヒーは、エルサルバドル経済の重要な柱となりました。しかし、1930年代の世界恐慌による価格暴落は、貧困にあえぐ農民たちの不満を爆発させ、1932年には大規模な農民蜂起(La Matanza)を引き起こしました。この悲劇的な事件では、約3万人の命が失われたと言われています。

その後、コーヒー生産は衰退しましたが、1970年代以降、ヨーロッパ移民による再興と、「14家族(Catorce Familias)」と呼ばれる寡頭支配層の登場によって再び発展を遂げました。彼らは高品質なコーヒー豆の生産に注力し、エルサルバドルコーヒーを世界中に知らしめました。

しかし、この繁栄の陰には、大きな格差が存在しました。「14家族」は莫大な富を手にし、多くの農地を支配しました。一方、農村部の小規模生産者は、低賃金で劣悪な労働環境に苦しむ労働者となりました。こうした支配層との格差が、1980年代に勃発したエルサルバドル内戦の引き金となりました。

聖職者を中心とした農民解放を掲げる左派ゲリラ「ファラブンド・マルティ民族解放戦線(FMLN)」と、「14家族」の資金援助を受けた右派政府軍との間で争われたこの内戦は、12年間にも及び、約7万5千人の犠牲者を出す悲惨な結果となりました。しかし、1992年に国連の仲介で和平合意が成立し、ようやく長い戦いに終止符が打たれました。

内戦終結後の新たな希望

 内戦終結後、エルサルバドルコーヒー産業は新たな道を歩み始めました。民主主義の確立と農地改革によって、小規模農家もコーヒー生産に参入できるようになり、品質向上のための取り組みも活発化しました。

現在、エルサルバドルコーヒーは、複雑な味わいが楽しめるスペシャルティコーヒーとして世界中で評価されています。

エルサルバドルコーヒーの品種と土壌

 エルサルバドルコーヒーには、ブルボン種、アラビカ種、マラゴジッペ種など様々な品種があります。ブルボン種はエルサルバドルコーヒーの代表的な品種であり、フルーティーな香りとまろやかな酸味が特徴です。近年では、高品質なマラゴジッペ種の栽培も盛んになっています。

エルサルバドルの土壌は、火山灰由来のミネラル豊富な火山性土壌です。この土壌は、コーヒーの木の生育に適しており、良質なコーヒー豆の生産に貢献しています。

アグアカリエンテ農園:伝統と革新の融合

 エルサルバドル西部のアタコ地区に位置するアグアカリエンテ農園は、親子三代続く歴史ある農園です。涼しい平均気温、豊富な降雨量、良質な火山性土壌は、コーヒー栽培に最適な環境を提供しています。

この農園の特徴は、伝統的な水洗処理に加え、農園内に湧き出る冷たいためぐみ豊富な湧き水を利用した発酵処理を行っていること。このユニークな処理方法は、クリアな味わいと上品な酸味を生み出すと言われています。

アグアカリエンテ農園では、収穫されたコーヒー豆を丁寧に選別し、天日乾燥させています。また、最新の設備を導入し、品質管理にも力を入れています。こうした伝統と革新の融合が、高品質なアグアカリエンテコーヒーを生み出すのです。

味について

 暖炉にくべた薪が崩れてカランと鳴るようなまろやかさに包まれます。炭の香りがさらに心身をリラックスさせてくれます。余韻には爽やかな桃の香りが漂います。

—-風味バランス—-

苦味 ★★☆

酸味 ★★☆

コク ★★☆

甘味 ★★☆

焙煎 ★★☆  

フレーバー:炭、桃の皮

農園データ

生産国エルサルバドル
標高
品種ブルボン、パカス
精選天日乾燥